Short×2+Story
短編未満とかネタメモとか。



「 The changes came about 」


今日はプロポーズの日ですが、本文は全く関係ない何かです。
※PLANET:E
※イスハーク・ダガー・ビアンコのほのぼの落書き
※作者だけが楽しい






「ハッピー、バースディ」

赤いリボンが可愛らしいクマのぬいぐるみを背負い、生クリームとイチゴのケーキを右手に携えて、傭兵王は紫煙をくゆらせた。

「うわーケーキ!?  どうしようビー、オレ、ケーキ初めて食べるぜ!」
「よかったでありますねイーシャー」

クマのぬいぐるみを放り投げると、白と赤の髪が嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねる。指についた生クリームを舐めとると口内でとろけて消えた。甘いミルクの味。

(甘ったるい、)

甘い。こんなことは似合わない。自分に、傭兵王に似合うのは硝煙と紫煙と、血の匂い、戦場。
こんなことは似合わない、はずなのに。

「師匠、ししょー、食べていい?  オレ、ケーキ食べていい?」
「小生も小生もっ、たべていい?」
「ダメ、オレのだもん」
「ダガー、イーシャがケチでありますぅー!」

なのに、ここにあるのは温かなミルク、甘いケーキにばたばたと手足をせわしなく動かす小さい生き物。クマをぎゅうと抱きしめて転げまわるイスハーク、頬を膨らませながらもクスクス笑うビアンコ。空色とアザレア色の瞳がきらきらはじけて光る。

こんな甘ったるいことは似合わない、はずだったのに。

「喧嘩をするな。……いい加減にしないと俺が一人で食べるぞ」
「師匠ずるいー!」
「ダガーずるいー!」
足元にはきゃあきゃあ騒ぎあう2人のこども。ぎゅうと服を握ってくるあたたかい手を感じながら、ダガーは薄氷色の目を細めた。

――お前にもいつか分かるさ、クリス。

小さな2人とクマを抱き上げ、傭兵王ダガー――クリストフは、本当に、本当に少しだけ微笑んだ。

ああ、世界はこんなに美しかっただろうか。



(The changes came about .)
(変わったのは世界ではなくて、)



゜゜゜゜゜゜゜゜
……これ実は”come about”って熟語を覚えるために書いたんだ(台無し)





12.06.03 17:23  sato91go