Short×2+Story
短編未満とかネタメモとか。



「 嘘吐きの夜明け 」


<傾向>
・中二時代の産物その一
・むっつりすけべ
・作者の頭の中ではBL
・「ちょっとなにをいってるのかわからないですね」
・難しい言葉を使えばかっこいい、そう思っていた時代が私にもありました






初恋は成就しない、そんなことを嘯いたのは誰だったか。どうしようもないくらい私はその正確無比なその予言者を呪うだろう。(ひとつ間違いを指摘するならばこの想いが最初で最後のものであるということだけだ。嗚呼。)これは八つ当りか?

君を見るだけで幸福にも不幸にもなれる己れは、親にも兄弟にも友人にも敵にも、君の為なら神だって天使だって悪魔にだってなれる。

だがしかしそんな事を堂々と宣言しておきながら、この恋情の前ではこの身体は理性は本能は雄としてしか機能しなくなるというのは一体どういうことだろう。平らな脳を動かし思うのはただひとつ、お前を自分のものにしたいという真っ更な欲望。どうしようもない真実、現実を君が知ったら嘆くだろうか?憤るだろうか?それともいつものように知らない振りで私を受け入れてくれるだろうか?耳を塞いで何も聞かない振り。目を伏せて何も見ない振り。弱くて小さくて眩しいお前は己れを受け入れる振りをして、私のすべてを拒むんだろうか。

いっそ拒絶してくれれば良い、罵って傷つけて私の事など全て忘れてしまえば良い。その手で私に触れることを止めてしまえば良い。その綺麗な目に私を映すことすら止めてしまえば良い。こんな私が君を駄目にしている汚している。

こんなに醜い私をきみはまだ知らない。君の作り出した私は本当の己れよりずっと美しい。当たり前だ、お前はとても美しいのだから。君の中に存在する己れだけは綺麗なまま君の名を呼ぶ。そのまま居なくなってしまいたい。この胸の内を知られる前に、死んでしまいたい。死んで。



(嗚呼、夜が明けてしまう)


朝が、光が、全てを暴いてしまうその前に、いつもの綺麗な私に戻ろう。そして君の額に口づけて、全てを覆って笑うのだ。




12.03.24 23:31  sato91go