「渚のほっぺた、ぷにぷにだねぇ」
「いやぁ、実にかわいい」とかなんとか言いながら先ほどから渚の頬や髪をいじり続けるなまえに、何度目とも知れないため息が出た。 頭を撫でさせて欲しいとなまえが言うので自分の頭を差し出してから数十分。未だに飽きることなく髪を触ったり、頬をつついたりして楽しむなまえには言いづらいところを視線でそろそろやめてと本人に訴えてかけてみても、返される返事は「もうちょっと」。 時間が経過するに連れ、渚の髪型がかわいらしいものへと変わっていくのも気になる点だが、普段の二つ結びとあまり変わらないのでその辺は良しとしよう。
「ね、シャンプー何使ってるの?」 「なにって、別に普通のだけど」 「お母さんと共有してたりする?」 「あーうん、まぁ……」 「だからかー。さらふわ〜〜」
軽く頬をつねられると細い指が刺さって痛い。とは言えず、代わりの問いを彼女に向かって投げてみる。
「触ってて楽しい?」 「うんっ」 「なら、いいけどさ…」
無邪気な笑顔に喉まで出かけた、そろそろやめての言葉が言えず、渚は再度肩を落として落胆するのであった。
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