不離のトラペジア / 逃走星のミスティリオン

キスばかり速度を上げるね

「お前は何もしなくていいから」
「そうそう。今日はオレたちに任せて……ね?」
寝室に運ばれる前に告げられたこの言葉を、そのあとも自ら服を脱ごうとする度、二人の服を脱がせようとする度、熱を帯びつつある股間に触れて拙く誘いをかけようとする度、それを嗜めるように散々に反復されて、もう耳にたこが出来そうなくらいだ。おかしな話、私が受動的であればあるほどに彼らには喜ばれた。
何もしなくて良い、という零君の言葉も、自分たちに任せて、という景光君の言葉も、固結びの約束事のようにしかと守られて、今夜の私は二人の恋人達にキスや愛撫を贈られるばかりで、禄に働きを見せていない。そこに飾られているだけの蝋人形のようにただただ寝台に横たわり、上半身を景光君、下半身を零君によってそれぞれ分割、分配され、固められた。
「――なまえはバター犬って知ってるか?」
清楚を気取って閉じていた私の膝を2つに割り広げ、ショーツの内側で欲に濡れつつあるそこを覗き込んだ零君が不意にそんなことを問ってきた。耳馴染みのない語句にふるふると首を振り、傾げると、彼は。
「女性の乳首や陰部にバターを塗り、犬に舐めさせるんだ……。局部を舐めるという行為とバターという報酬が結びつき、次第に犬はバターの塗られていない局部も舐めようとするようになっていく……」
「え……ぱ、パブロフの犬……? よくそんなこと思いつく人いるね」
「いや、同じ『条件付け』でもパブロフの犬で有名な実験は、犬に餌をやる前にベルを鳴らすようにしているとベルの音を聞くだけで唾液を分泌する……というもので、『古典的条件づけ』に分類されるんだが……それに対して、今言ったバター犬で用いられる条件付けは、『特定の部位を舐めるという行動』に対して『その部位に塗られたバターという報酬』が支払われるということを学習し、次第にその部位にバターが塗られていなくても舐めるようになるというもの……。『オペラント条件付け』に分類される別物だ。敢えて言うならソーンダイクの猫が近いかな?」
閨に似合わぬ知的な零君の言葉になるほどと聞き入っていると。
「バター犬なのに猫なのか」
私を背後から抱きしめて椅子になってくれていた景光君が喉仏を震わせてくすくすと笑う。私は彼の行儀の良い微笑み方が好きだった。
そんな景光君の手は、躰の側面に向かって流れてしまう胸の双丘を両手で中央に寄せ、谷間を作って、児戯みたいに楽しんでいる。楽しそうだな、なんてそんな彼の顔を下から眺めていると、キスをねだる視線と捉えられたのか彼は唇が降らせてきた。景光君のすらりと高い鼻先が私の顎に触れる、逆さまのキスだ。
「君も僕のこと、躾けてみるか?」
「えっ、バター塗るのはやだよ……」
するり、と褐色の指によってショーツが下ろされて、腿の半ばでくるりと丸まる。一応は私を文明人たらしめる最後の砦であるそれが取り払われた瞬間だというのに、生活感の絵の具で色香が塗り潰されたこの場ではあまり恥辱は煽られない。
「少し撫でて貰えさえすれば僕はそれで……。人類の一番の友達は犬とはよく言ったもので、何万年も前から家畜化されてきた犬は、頭を撫でて貰うなどの社会的なふれあいでも充分に報酬になり得るからな……」
睦言にしては色めきのない語り口で、零君は露わにした私の秘部に顔を寄せようとする。
処女や童貞が特別視、ときには神聖視さえしたりする行為も、衣食住を共にして、毎日の生活の循環の中に歯車として組み込まれれば、その幻想じみたきらやかさは落ち着いていく。幼馴染三人で気楽に食事を楽しむように、恋人三人でロマンスの比率をリラックスが追い越したセックスをする。
檸檬の果実のような柔らかなブロンドを撫でると、ありがとう、と眉を下げて微笑まれ、美貌を再認識させられた事で拍動が息を吹き返す。クンニリングスなんて昔は考えられなかったけれど自分も口を使って二人を悦ばせようとするうちに抵抗は薄れて、何より零君の巧みな舌使いに翻弄されるうちに虜にされていた。
零君が愛おしそうに瞳を閉じて私のまだ皮膚の奥に眠っているクリトリスにキスをする。
「……っ」
あえかな刺激だけれど期待を膨らませるには充分で、私は神経ではなく心で性感を得た。
大衆の視線を奪う目鼻立ちの華やかな零君の顔が、自分の一番汚らしくて恥ずかしいところに埋められようとしている。蘇りつつある羞恥心から、ふい、と顔を背けると、熱を帯びている耳に寄りかからせて貰っている景光君が唇を落としてきた。視線を外したことを叱るように景光君の手が私の胸を揉みしだく。
「ちゃんと見てないとな」
「ひ、ヒロ、君……」
眼下には私の両胸を覆い、むにむにと変形を促す景光君の手があった。零君よりも白い景光君の手も、私よりは日に焼けていて、何より一目で男の人とわかる骨格を皮膚の下にあからさまに忍ばせている。
その向こうでは零君が今まさに肉のひだを指で掻き分けている最中であり、ちゃんと見てろよ、と視線が合うや否や釘を刺すように彼の笑みが深くなる。
「バター犬といえば、17世紀フランスには山羊責めといって、塩水に浸した足を山羊に舐めさせる拷問があったそうだ。山羊の舌はやすりのようにざらついているから、何時間も舐められ続けると次第に足の裏の皮が避け、血が出てくるんだ……。慢性的に塩分不足の山羊には、塩分を含むものを延々と舐め続ける習性があり、人間の足がどうなろうとやめてはくれない……。そして血液には塩分が含まれるため、舐められて皮が剥ければ剥ける程に……」
えっ、と私が顔を青褪めさせると、後ろから抱き竦めてくれている景光君にそれが伝わったのか、彼は肩を竦めてじっとりとした眼差しで零君を睨んだ。
「なんで今まさに舐めようって時にその話するんだよ」
「なまえにリラックスして貰おうと思ってさ」
「そんなこと言われたら怖くなるだろ、普通」
私を寝かせると、景光君は枕元に改めて座した。躰が水平になると幾らか楽になった。
景光君に両胸を執拗に可愛がられ、開かされた膝の狭間に鼻先を寄せた零君に皮下にある敏感な核を舌で探られる。まるでそれだけがお前の役目だと言わんばかりに、それからの二人は、私に施される愛撫に身を震わせる以上のことは決してさせないのだった。
「ん……っ、ね、もう、やだ……。そんなしたら絶対変になっちゃうよ……」
絶頂を貪り喰い、腫れた陰核は、きっと行為後もじくじくと次の刺激を求め続ける。総身を覆う倦怠感を掻き分けて、核だけが果敢に快楽に前のめりになり、ちぐはぐな躰にされてしまう。
「それは聞けないな。今日は君をたくさんいかせてあげる日って決めちゃったから」
私の顔のすぐ隣で胡座をかいていた景光君の声が降ってくる。
お姫様の行う秘事とはまさにこんな蝶よ花よと丁重に扱われることなのだろうと考える。
自分を大切に労ってくれる人には、せめて同じだけ尽くしたいと思うのが人間だろうに、零君も景光君も私に能動性を期待しない。与えられるだけ与えられて、満たされるだけ満たされて、ついには溢れそうになっている心を支える手立てはない。
「い、いいよ、そんなの……」
「そんな事言わずに」
「ひぁっ」
組み合わせていた脹脛を解き、ベッドに膝を沈ませて身を乗り出してきた景光君が、れろ、と覗かせた舌先で私の胸の先を軽く押した。ぴんと天井を向いた恥ずかしい隆起は、唾液を絡めた熱にくにくにと押されて、お辞儀をするように倒されたり、起き上がったり。ちゅう、と吸われると、彼の唇に胸を押し当てるように背中が仰け反ってしまう。
私の頭の上の方から覆い被さっている景光君はこちらから見ると逆さまで、スパイダーマンキスをしているみたい。耐え兼ねて枕の上でかぶりを降っていると、私の胸を舌で転がす景光君の横目と視線がかち合って、もうそれだけで火花が走りそうになった。
「……っ。や、ぁ……、あぁっ」
絶頂の畔でなんとか踏み止まった私を無遠慮に突き落としたのは、陰核を舌で捏ねた零君だ。ちろちろと陰核の真上や筋そのものをなぞるように往復させられていた舌が、まるで見計らったかのように意地悪をしてくる。
「お尻上がってる……。もういきそう?」
凧糸のように強張って突っ張っている自らの背筋は、景光君の台詞で初めて意識に登った。彼の問いかけに対してこくこくと必死に頷くと、そっか、とその瞳が甘やかに細められた。無自覚な図星を突かれたことを恥じ、背筋を緩めてシーツにくっつけてしまいたくなったけれど、ちゅぽん、とやや強めに吸いながらに唇を遊離させる零君と視線が交わった。
「ん……ぢゅる……腰浮いちゃうほど気持ちいいなー? いっていいぞ、もっとしてやるから――」
また零君は端正な顔を私の恥ずかしいところに埋めて、そしてたっぷりの唾液を纏って潤ませた舌を、皮膚を押し上げる性感の突起に這わせた。
「っ、ぁ……」
がくがくと膝が震え始め、更に反り返る背筋が弓なりに変わる間にも、零君も景光君も攻めの手を休めはしなかった。乳首もクリトリスもずっと弄ばれ続けている。
ひとつの大きな快が過ぎても、千重波のように終わりなく注がれるものによってまたすぐに高められ、二度も三度も気を遣ってしまう。快楽は留まるところを知らない。達している最中だというのに、すぐに次の絶頂を運んでくる刺激を性感帯から食わせられる。終わらない、終わらない、またいっちゃう――……。
「〜〜っ」
「一回びくびくってなってからもずっと触られるの、好きだろ。僕らにいっぱいいくところ見せてくれ」
唾液と愛液を塗りたくられた陰核を今度は指でくるくると撫でながら、零君が言う。
私は膝を震わせ、腰を揺らし、髪を振り乱しながら、断続的な絶頂を耐え忍ぶだけで精一杯だ。
「ふふ、すごいなぁ。今ので何回いった? ずっとびくびくしてるけど」
ねぇ、なまえちゃん? と景光君のうっとりと熱を帯びたつりがちの瞳に覗き込まれ、ようやく呼吸に奪われていた口に声を乗せる。
「わ、わかんな、ぁっ……。や、とめ……っ、止めてよぉっ」
「だぁめ」
言いながら、きゅ、と景光君が私の乳首を人差指と親指の腹で挟んだ。
「あんっ」
雄と雌として繋がる前に一度達しておくと、愛液がさらついたものからぬめりのあるものに変質するので、挿入の負担が幾らか和らぐ。けれどこれでは一向にセックスに進めない。満腹を超えても次から次へ餌を口に突っ込まれるが如く、上肢も下肢もいいようにされている。私だけが狂わされるまま、零君も景光君も発散できない昂りを抱え続けるだけ。
「お、また腰浮いてきたな……。もういっちゃうんだ。いいぞ」
芸を覚えた犬によしと言うように、零君が許しを唇に乗せる。
「っ、あぁ――……」
びくんっ、て。自我の制御を外れた肉体が、また大仰に波打つ。
やっぱり二人は私が達したからといって手を引っ込めてはくれなくて、むしろ更に乱すいい機会だとばかりに旨と股の突起をすりすりと撫で続ける。力加減を一定に保たれた撫で方は上も下も気持ちが良くて、どうにかなりそうだ。
「あ……。あっ。あっ」
満ちては引いてまた満ちる浜辺の波のように、一番大きな快楽のあとも、後追いの快楽がどくどくと私の躰を訪れ続けた。断続的に知覚をノックする快さに幾度も腰をくねらせ、その度はしたなく声を漏らす私の痴態を、彼らはくすくすと笑う。恥ずかしくて堪らないのにかわいいと甘く告げられるとこの熱と寒気の双方に同時に粟立てられる肌も曝け出してしまえた。
景光君の潤いに飛んだ舌がなめらかに私の胸をくすぐる。反対は戯れに乳房もやわやわと揉まれつつ、乳首を指の先ではなく掌全体で転がされ、絶頂に押し上げられて酩酊するその瞬間をピザの生地みたいに引き伸ばされた。
やっと絶頂が止まった頃、震える瞼をこじ開ける。
「も、もういけない……」
「大丈夫、できるさ。僕らも手伝ってやるから」
そういうことじゃないのに。わかっているのかいないのか、零君は膝同士をくっつけて阻もうとする私を「こらこら」と甘い声で叱り、引き摺りそうなほど疲れた脚に大仰に広げるのだった。諦めて身を委ねるしかないのやもしれない。
「や……っ、ひゃ、うぅ……」
腫れて一粒のさくらんぼの果実のようにぷっくりと顔を出したクリトリスは、しかしそんな可愛らしい比喩など裸足で逃げ出すくらいにグロテスクな容貌であるはずだ。それなのに甘い果実にかぶりつくように零君がまたそれを食んでしまうから、彼を夢中にさせるだけの価値あるものと錯覚しそうになる。所詮は泌尿器の一部で、そんなわけがないのに。
指で力加減を繊細に制御されながら核を撫であげられるのも心地よいけれど、砂糖を撒いたみたいに少しざらつきのある舌で唾液を絡めながら弄ばれるのは、脳細胞が狂ってしまうのではないかというくらいに私を雌にする。
尖らせた舌先で熟れた陰核の頂きや、肉の溝を刺激されると、痛みと区別がつかないくらいの鋭利な痺れが脳の奥に噛み付いてくる。あまりのことに背筋が凍りつき、左右に広げられている膝は怯んで跳ねた。
「ひっ! それ、だめだよっ……つよい……」
「ん……ふ……、じゃあ優しく舐めようか」
たった一点の弱みに針を突き刺すような強すぎる刺激は痛々しくて苦手だった。反して、痺れた拍子にこぽりと蜜を零す自分の股ぐらが愚かしくて仕方なく、嘲りたい衝動に駆られる。
私の好きな触れ方を熟知している零君は、強張らせていた舌を寝かせて、舌全体でねっとりと舐める動きに変えてくれた。安堵でベッドの上に蕩けた総身はより快楽を拾いやすくなって、安定した舌の使い方に肩を揺らす。噛み締めていたはずの奥歯さえも緩んでしまい、恥ずかしく喘いだ。はっ、はっ、という弾む呼気の中に甲高い悲鳴が交じる度、「かわいい」と恥ずかしげもなく言う景光君が呼吸の妨げにならない程度に軽いキスを落としてくれた。
「なまえちゃんは優しく触られる方が好きだよね?」
「ふ、ぅ……ぁ……好き、優しいの、好き……」
「おっぱいも優しくして欲しい?」
「うん……」
頭を締める螺子が外されても、存外姑息な冷静さは保たれたままだ。下手に反発して彼らの加虐心に火を灯し、意地悪な愛撫をされては堪らないからと、素直に甘えたおねだりを吐く。いい子だね、と景光君に頭を撫でて貰えると、それだけで鳥の羽にくすぐられるように気持ちがいい。
真上から再び唇を重ねてきた景光君は、舌同士を縺れさせるのと同じ速度で、指の先で乳首をくりくりと転がした。もう片方の手は、反対の乳房全体を柔く揉み、時折先端を指の腹で撫ぜる。乳房の下側から外周をなぞるように側面を撫で、脇と胸の境目に指を這わせられると、ぞくぞくとして。目をかっ開けばいいのかきつく瞑って耐えればいいのかわからない。
顔の造形に恵まれている人は指の先まで流麗だ。綺麗なつくりの骨をくすみのない皮膚で包んだ景光君の指先は、男の人らしい長さとらしくない細さを併合している。零君や私よりも仄かに低い体温を宿す指に触れられると、刺激ばかりか温度にもときめいて、肌を馴染ませるうちに彼に私たちの温度が伝染していく悦びには、陰ながら耽るのだった。
喘ぎと吐息はキスで結んだ唇に盗まれて、キスを終わらせたくないからかぶりを振ることも自ら謹んだ。逃がす先のない快楽に、腰がくねくねと蠢いてしまうと、今度は零君に膝の裏を抱えられて下肢の自由を剥奪される。二人によって寝台に磔にされてしまうと、シューの生地にカスタードを詰めるように快楽で埋められていく。
「……っ。……〜っ」
まさに快楽の過積載だ。
一度の大きな絶頂のあと、小さな絶頂を幾度も味わう、というのを息が切れても涙が出てもお構いなしに何度も繰り返された。ついぞ撫でても弾いてもどうしたって絶頂に届かなくなった頃、ようやく私を解放されて、呼吸を整えることを許される。
「たくさんいけたな」
私の恥部から顔を上げた零君は、べったりと恥ずかしい液で濡れた唇に孤を乗せた。
恋人達のほんとうの熱を受け止めていないからか、これだけの快楽に焼かれた今も倦怠感はあまりない。だからこそ飢餓に喘ぐようにより強い刺激を渇望する陰核の存在は自身の躰の中で一番に際立っていた。秘めておきたいはずの熱の在り処を認めざるを得ない。
いけなくなるまでいじられた陰核が叫ぶように疼いている。隠すためというよりも、内腿の摩擦で騙し騙し慰めようと目論んで、もじもじと腿を撚り合わせていたら、目敏い零君にそれを暴かれた。
「あれだけいったのにまだ足りないのか?」
「……っ」
「だんまりは良くないな。ちゃんと答えてくれ。足りないんだろう?」
零君がぐぐっと詰め寄ってきた。答えを見透かした双眸をしている癖に、敢えて紡がせたがる。
「白状した方が楽だと思うけどな。オレもゼロも鬼じゃあないし……」
つん、と景光君が人差し指を私の頬に沈める。
「足り、ない……っ」
「ふぅん。それで?」
くい、と餌に飛びついた魚を焦らすように、眉を吊り上げる零君。
「お股、むずむずするの……。もっと零君とヒロ君の、欲しい……」
「しかしなぁ……君、もう今日はクリだけじゃいけないだろ? 方法を改めないと」
いつもならこれで許してくれるのに、今日はもう一歩踏み込むことを期待されているらしかった。
敢えて鈍感に扮する零君に、景光君は苦笑いを浮かべていたけれど彼も彼で私からねだらせたいという意思を同じくしているのか口出しをしてこない。
「わ、わたっ、しだけ、きもちいの、やだ……。れーくんとひろくんも……ちゃんと、よくなってほし、い……っ」
口が上手く動かない。これ以上何を言えと言うのか。泣きそうになりながらどんな恥ずかしい台詞を並べ立てたら良いのかと頭を廻す私に、二対の視線が突き刺さる。
「どっちからして欲しい?」
「えっ……」
零君の問いに肩が跳ねる。
「なまえちゃんに選んでほしいな」
景光君が追い打ちをかけてきた。
――えっ、答えなきゃ駄目……!?


2023/10/16
prev | next
- ナノ -