プロローグ
『大切なものは、それを失ってから初めて、自分にとってどれほど尊い存在だったかを思い知らされる。』
いつだったか、誰かにそんなことを言われたとき、おれは心底『くだらない』と思った。
『失ってから初めて思い知らされる』なんて、どんくさいヘマをするつもりもなければ、
守れないものなどないと、そう信じていたからだ。
……………だから、
だから、だろうなァ。
『おはよう、ロー!あっ、おにぎり作ったけど食べる?』
おまえが、ただとなりで笑っていたことが、
こんなにも、おれにとって尊い時間だったんだと、痛いくらいに思い知らされているのは。
こんなおれは、さぞ滑稽でマヌケなんだろうなァ。
だから、なァ、
……………笑ってくれよ。
なァ…
***…
童話に彷徨う海賊たち[ 50/68 ][*prev] [next#]
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