プロローグ

『大切なものは、それを失ってから初めて、自分にとってどれほど尊い存在だったかを思い知らされる。』


いつだったか、誰かにそんなことを言われたとき、おれは心底『くだらない』と思った。


『失ってから初めて思い知らされる』なんて、どんくさいヘマをするつもりもなければ、


守れないものなどないと、そう信じていたからだ。


……………だから、


だから、だろうなァ。










『おはよう、ロー!あっ、おにぎり作ったけど食べる?』











おまえが、ただとなりで笑っていたことが、


こんなにも、おれにとって尊い時間だったんだと、痛いくらいに思い知らされているのは。


こんなおれは、さぞ滑稽でマヌケなんだろうなァ。


だから、なァ、


……………笑ってくれよ。


なァ…











***…










童話に彷徨う海賊たち


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