14

がくんっ。


…………………ん?


…………………あれ?


ここどこ…


……………き、気持ち悪…


視線をそらすと、外の風景がものすごい速さで流れていく。


それを見て、車に乗っているんだということを悟った。


考えるより早く、視線は運転席へと泳ぐ。


そこにいたのは、


「……………ロー…」

「…………………やっと目ェ覚めたか。」


こちらに視線を向けることなく、ローがあきれたように言った。


…………………あれ、


なんだろうこの状況。


なんで私ローの車に…


「……………覚えてねェのか。」

「え、あ、いや、あの、」


しどろもどろに答える私を見て、ローは大きく溜め息をついた。


「飲みすぎなんだよ、バカ。」

「……………飲み……………あ。」


……………思い出した。


シャチくんに、ダリアさんに会わせてくれって頼まれて…


3人でお酒飲んでたらそこにローが…


…………………って…


「ロ、ローっ…!お酒飲んでっ…!」

「ねェよ。車乗ってきてたからな。」

「………あ………そうなんだ…」


……………そういえば、ローはダリアさんに『重症人がいる』って言われてきたんだっけ。


「ダリアさんとシャチくんは…」

「さぁな。まだ店いるんじゃねェか。」

「えっ、」


……………そっか、


私が潰れちゃったから…


「ご、ごめんなさい。」

「……………別に。もう慣れてる。」

「う、」

「面倒見きれねェな、おまえは。」

「……………ご、ごめ」

「おれにしか。」

「……………………え、」


パッとカオを上げると、いつものように意地悪く笑うローと目が会う。


…………………あ、


このカオ、久しぶり…


胸が、きゅっと締めつけられる。


「わかったか、バカ。」

「……………はい。」


そう答えると、ローは満足したように口の端を上げて、まえへ視線を戻した。


「……………ロー、」

「あァ?」

「………………ありがとう。」

「……………あァ。」


窓の外に目を向けると、窓ガラスに映るローの姿。


しだいに、それがじわりと歪んでいく。


…………………あぁ、


こんな夜は、危険だ。


キモチが、溢れてしまいそうで。


それを抑えつけるように、ぎゅっと目を瞑ると、


まぶたの裏で、さっき見た二人の姿が、とても綺麗に映し出されて。


いつまで、一緒にいられるのだろう。


そんなことを、考えてしまった。


[ 14/70 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -