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がくんっ。
…………………ん?
…………………あれ?
ここどこ…
……………き、気持ち悪…
視線をそらすと、外の風景がものすごい速さで流れていく。
それを見て、車に乗っているんだということを悟った。
考えるより早く、視線は運転席へと泳ぐ。
そこにいたのは、
「……………ロー…」
「…………………やっと目ェ覚めたか。」
こちらに視線を向けることなく、ローがあきれたように言った。
…………………あれ、
なんだろうこの状況。
なんで私ローの車に…
「……………覚えてねェのか。」
「え、あ、いや、あの、」
しどろもどろに答える私を見て、ローは大きく溜め息をついた。
「飲みすぎなんだよ、バカ。」
「……………飲み……………あ。」
……………思い出した。
シャチくんに、ダリアさんに会わせてくれって頼まれて…
3人でお酒飲んでたらそこにローが…
…………………って…
「ロ、ローっ…!お酒飲んでっ…!」
「ねェよ。車乗ってきてたからな。」
「………あ………そうなんだ…」
……………そういえば、ローはダリアさんに『重症人がいる』って言われてきたんだっけ。
「ダリアさんとシャチくんは…」
「さぁな。まだ店いるんじゃねェか。」
「えっ、」
……………そっか、
私が潰れちゃったから…
「ご、ごめんなさい。」
「……………別に。もう慣れてる。」
「う、」
「面倒見きれねェな、おまえは。」
「……………ご、ごめ」
「おれにしか。」
「……………………え、」
パッとカオを上げると、いつものように意地悪く笑うローと目が会う。
…………………あ、
このカオ、久しぶり…
胸が、きゅっと締めつけられる。
「わかったか、バカ。」
「……………はい。」
そう答えると、ローは満足したように口の端を上げて、まえへ視線を戻した。
「……………ロー、」
「あァ?」
「………………ありがとう。」
「……………あァ。」
窓の外に目を向けると、窓ガラスに映るローの姿。
しだいに、それがじわりと歪んでいく。
…………………あぁ、
こんな夜は、危険だ。
キモチが、溢れてしまいそうで。
それを抑えつけるように、ぎゅっと目を瞑ると、
まぶたの裏で、さっき見た二人の姿が、とても綺麗に映し出されて。
いつまで、一緒にいられるのだろう。
そんなことを、考えてしまった。[ 14/70 ][*prev] [next#]
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