修学旅行2日目の夜のあの出来事。
「やべっ!新堂ちゃん見回りに来たんじゃね!?」
「女子も隠れろ!」
俺はそばにいた**の腕を引っ張って一緒の布団に隠れた。
華奢な肩に腕をまわして俺の懐に閉じ込める。
バレないようにか、じっと大人しくしている**。
超やべー…
コイツまじいい匂いする…
風呂入ったから石鹸の香りか?
俺の中にすっぽり収まっているせいで、髪の毛が俺の鼻をくすぐる。
サラサラの髪の毛から香るシャンプーの匂い。
身体から香るものとは違う。
**の身体全体から香る甘い匂いにくらくら来そうだ。
その首筋に顔を埋めたい。
絶対にそこが一番いい香りを発してるはず。
鼻から入った**の香りは、俺の脳を直接刺激する。
マジでコイツの匂いに酔いそう…
感触もやっぱりヤローとは違えな。
細いのにゴツゴツしてなくてやわらかい。
ほどよい肉感が気持ちいい。
ぎゅっと抱きしめてー…
触れたところから熱が広がって熱くなる。
掌から伝わる少し高めの体温と、甘い匂いで俺の心臓はすごい音を立てている。
聞こえねーかすげー不安。
でも俺の腕の中に**がいるって考えたらもっと興奮してきちまった。
こんなに密着してたら、まじでやべぇ。
…おい!
そんなモゾモゾ動くなって!
いろんなところに身体が触れるだろ!
あ。
やべ…
このおいしい状況と衣擦れの感触で…
待て!
反応するな!
堪えろ、オレ!
…生殺しってこういうことだよな。
**の香りが媚薬みたいに作用してるみたいだ。
**に触りてー。
肩や背中だけじゃなくって、
いろいろ…
とりあえずキスしてー…
………。
「おっ、ちゃんと寝てるな!」
バタン!
「…新堂ちゃん行ったな」
「女子部屋にも見回りくるかもしれないよ!ナカムー、**早く戻るよ!」
「うん。…じゃあね」
暗くて**の顔がよく見えない。
俺の腕にあった香りがするりと逃げてゆく。
パタンとしまったドアの音がやけに耳に響いた。
……どうするよ、コレ。
妄想してたら超元気になっちまった…。
「ターケちゃん」
「…あ?」
「トイレ行かなくてだいじょーぶ?」
笑いの含んだカンちゃんの声が降ってきた。
ついさっきまで駆け込もうと思ってたけど、バレバレな感じで無性に腹がたつ。
「なんでだよ。別に行かねーし」
「マジ?**ちゃんと一緒に布団に潜った時点でオレならやべーのに!タケちゃんすげーな!」
しまった。
もうあとには退けねー。
どーするよ…
この元気になっちゃったヤツ。
さっきまでアイツがここにいたから少し匂いが残ってるし…
そのせいで**のいろんな姿考えちまう…
ぜってー今日寝れね――――!!!
「ふぁ〜…」
「タケトくん、どうしたの?寝不足?」
「あー…、ちょっとな…」
**の香りが残る布団の中で俺は眠れない夜を明かしたのを**は知らない。
end