「―ああ、今日も雨降るのか」



天気予報見てきてねぇから傘忘れちまった










この間、どしゃ降りの中傘もささず立ち尽くす女の子がいた




いつもの俺なら見てみぬふりをするだろう








でも斜め後ろから見えた横顔が
あまりにも綺麗で

淋しげで






泣き出すのかと思えば笑うんだ












その表情に囚われた俺は彼女の腕を取っていた


何も考えず

ただ体が動いたんだ







その日、本当は部活があったが雨のためグラウンドが使えず急遽休み







あまり使ってないタオルで良かった

そう思いながら彼女の髪を拭いていた







なんだこれ

俺なにしてんだ?

キャラじゃねーじゃん













『―俺、雨が好きなんだ。』

気づけばそう発していた。









俺の手とタオルの中にいる小さな彼女


なぜだか無理をしているように見えて






初めて会ってしかも全く知らないくせに何言ってるんだ

って自分でも思った









でも言わずにはいられなかった









さっきの上を向いて笑った顔は

泣いてるようにも見えたから













終了の合図で俺が頭に手をのせると
タオルに包まれた顔が露になった



改めて見る

今にも泣き出しそうな

すがるような瞳

どこか憂いを帯びて

『女の子』のあどけなさの残る表情


タオルから覗くその顔は仔犬のようにも見えた。














彼女に初めから囚えられていたんだ。











わかった瞬間、俺は彼女にはもう何も言えずタオルと傘を残して立ち去った。





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