Love too much it , I fall into the deep bottom.















扉が静かに開く音に、そっと目を開いた。

ベッドに寝転んだまま、視線だけを入口に向けると、そこには俯いたままたたずむすずちゃんがいた。



「・・・夏輝さん・・」


涙でうるんだ瞳を素直に受け入れる気になれなくて、そのまま背中を向けた。


「夏輝さ・・ご、ごめんなさい・・・」


背中のすぐ後ろから聞こえる消えそうな声に、小さくため息をついた。


「・・なんで謝るの?・・」

「・・っ・・」


思ったよりも低く響いた声に、静かに息を飲む音が聞こえる。

俺の声に怯えて震えるすずちゃんにも、そうさせている自分にも、無性に腹が立った。

ゆっくり身体を起こした瞬間、彼女の体がビクッと大きく揺れて、涙が一筋こぼれた。


思わずカッとして、すずちゃんの手首を掴み、引き寄せる。

涙をいっぱいに溜めた瞳を見た瞬間、俺の中の何かが弾けた。







噛み付くように奪った唇から零れる雫が首筋を伝う。

息をする間も与えないほどの激しいキスに、力の抜けた身体をベッドへと押し倒した。


こんな強引な行動にも、文句も言わず責めもしないすずちゃんにまた腹が立って、俺は・・彼女が1番嫌がる形で覆い被さった。




「い・・やッ・・・夏、輝さ・・」





乱暴に服を捲り上げ、手を這わせる。

大きく跳ねる細い身体に、肌をすべる自分の手が異様に冷たい事に気付いた。





暗く、重く、どす黒い感情が俺の脳内を支配していて、ぐるぐると視界を霞ませていく。

もはや何が原因だったのかまったくわからない。



「・・すず・・・すずっ・・」




まるで取り憑かれたように、一心不乱に彼女を攻め立てる。


顔をシーツに伏せたまま、嫌々をするように首を振り泣き声を上げる彼女の中に、苦々しい思いのまま全てを吐き出した。









震える細い肩を大きく上下させて、小さく丸まるすずちゃんを目にした瞬間。

身体の芯まで一気に冷えた気がした。




「すずちゃん・・・ごめん・・」

震える身体にそっと毛布をかぶせ、優しく抱きしめた。





「夏輝さん・・いいんです」



静かに微笑むすずちゃんの髪を撫で、頬を寄せると、そっと背中に手が回された。



汗ばんだ額と頬に小さくキスを落とすと、かすかに微笑むすずちゃんに思わずホッとして、またぎゅっと抱きしめた。





「夏輝さん、私・・・」

「ん・・」




落ち着いた声で静かに話しだすすずちゃんの顔を、じっと見つめた。




「こんな仕事をしてますから・・笑えと言われれば笑えるし、泣いてと言われれば泣きます。」


「うん」


「気が乗らなくても、どうしてもやらなきゃいけないことも、あります・・」


「・・・ん」



「でも・・私の心を動かせるのは、夏輝さんだけ、ですから・・」


「・・すずちゃん・・」



柔らかく微笑むすずちゃんの頬をそっと撫でる。


「あー・・もう・・」


不意に涙が出そうになって、それを隠すようにぎゅっと抱きしめる。


首筋に顔を埋め、大きく息をついた。





「すずちゃん、ありがと・・・愛してる。」





耳元でささやくと、身体がぴくりと震えて、頬が赤く染まった。









love too much it
I fall into the deep bottom.






愛しすぎて。

愛しすぎて、深く深く、溺れていく。



彼女無しではもう俺の世界は意味をなさない。








「夏輝さん・・私も、愛してます・・」



キラキラと目がくらむほどの微笑を見せるすずちゃんの頬を両手で挟む。



「ごめん、今度は・・優しくするね」


「っ!?もう・・」




一段と赤みを増した頬を撫でて、そして優しく、甘いキスを落とした。









end.




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