The song by Kaiji.
昴さんが俺の肩を叩き、交代の時間を知らせる。散々見飽きていたマルタイの顔ともやっとおさらば出来る。
そう思ってたのに。
今回は楽だと思っていたのに俺の予想は覆された。気が緩んでいたわけではないけれど、浅はかだった自分を戒める。
状況なんていつ変わるかはわからない。いつ、敵が攻め入ってくるかわからない状態から脱した今、拘束されていた俺にやっと時間が与えられた。
それでも油断はできない状況には変わりない。
左手から除く手首を見て舌打ちをした。時計の針は待ち合わせの時間からだいぶ過ぎている。
時間が取れたといってもほんの30分ほどだ。ここから往復している時間は、ない。
控えの部屋に入って光り輝く夜景を窓から見下ろした。
窓は、ひんやりと冷たくて今にも雪が降りだしそうだった。