*これはとある絵茶の途中、花桜さんという師匠に書いてもらったssです。
*多分盗賊いべさん。しかしこのサイトのいべさんではない
*ろらさんが無邪気
*夏祭り
*以下どんな盗ぞkry!なかたはどうぞ!
*無断転載はダメ、絶対!











「引っ張るなよ…」
「俺にも一口ー!」

引っ張るなよ、と言われたサンだが、当然そんな言葉は聞く耳をもたないのだ。ぐい、とひっぱって綿飴を自分の方に寄せる。

「いただきまーす!」

はく、と被りついて、口の中いっぱいに綿飴を頬張る。そうしてから引きちぎると、砂糖の塊は口の周りや頬にべたりとはりついた。

「んぁ、付いちった」

咀嚼しきってから砂糖を手で拭う。

「取れない…イヴェール、取ってぇー」
「…自分で取れ、それぐらい」
「けち!」

けちとかけちじゃないとか、そういう問題ではないだろうとイヴェールは思った。綿飴といえど結局は砂糖の塊で、熱によって容易くとけることは周知の事実なのだから。

「うぁー、べたべたする…」

不用意にごしごしと擦る者だから、口の周りばかりでなく指にも砂糖が付着していく。粘性を孕んだそれはぬらぬらと光って、酷く淫靡に見えた。

「――、」

気がつけば、その指を引き込むように口内に含んでいた。あれ、何でこんな展開になってるんだろう。

「えっ…」

小さく驚愕が呟かれたが、既にイヴェールの耳には入っていなかった。甘い塊が付着するその美しい指を、丹念に舐めまわす。 輪郭をなぞる様に、全体を包み込むように。砂糖がすっかり溶けて無くなっても行為は続いた。

「イヴェ、ル、も…ぃい、から」

焦燥感によく似た、けれど確実に違うと言いきれる感情がサンの中に湧き上がってくる。銀糸がサンの指とイヴェールの唇を繋いだ。

それが、ひどく、淫逸で。

「――っ、」

何を、しようとした? イヴェールは思いとどまる。ショート寸前まで壊れた自分の思考回路を必死で修復し、自分の行動を顧みる。あのままいけば、サンに口付けていた。思いとどまる事が出来た自分の理性を褒めてやりたい。

「…ごめん」

眼の前で呆けているサンに一言だけ謝って、綿飴を押しつける。

「あと、食べていいから」

それで立ち去るつもりだった。しかしそれは許されなくて。

「待てよ」

背を向けたところで後ろからきゅっと袖を掴まれ、イヴェールは強制的に歩みを止めた。

「…なに」

これ以上彼の近くにいたら何をするか自分でも分からない。故に、イヴェールはさっさとここから立ち去りたかった。それが叶わないならせめて、後ろの線香花火組に加わりたかった。しかしどちらも許されない。イヴェールの戸惑いが透けて見えたのか、サンも少し困ったように眉をハの字に下げて笑った。

「これ、一人じゃ食べきれないんだけど」

どう見ても二人用だし、と苦く笑うサンは、先程の事などまるで気にしていないようだ。

「それに所詮は砂糖の塊だし、飽きるよな」
「――飽きないよ」
「イヴェールって甘党?」

そうじゃなくて、

「…サンがだよ。一緒にいて飽きない。変な奴」

でも面白い、とくすくす笑うと、初めはキョトンとしていたサンも一緒になって笑いだした。

「イヴェールって、変な奴!」
「サン程じゃないけどね」

二人でひとつの綿飴を食べながら、そう言いあってまた笑った。







補足。これはあみだで決まったキャラの組み合わせが元なので、線香花火組→赤ロラ+ろらさんになってます。









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