ホワイトデー前日談。現パロのルキアは、白鴉と三歳差くらいがベストかな…。






ぼくがその人に会ったのは、ホワイトデーが間近に迫り活気づいているスーパーの入り口付近。でかでかとスペースを陣取っている特集コーナーだった。

その人は、背中から見るだけでも分かるくらい真剣に、慎重に商品を吟味をしていた。上の棚のクッキーを手に取ってみたり、すぐ下のマシュマロがつまった瓶をしげしげ見たり。値段を見て選んでるとも思ったけど、よく観察すればかなり高額なものも眺めている。


(それだけ、渡す相手の人がすきなんだなぁ)


背中で時々揺れる銀色の尻尾に、ぼくは三歳年上の叔父を思い出してくすりと笑った。叔父と姪、というより兄妹同然に育ったぼくたちは、毎年当然のようにバレンタインとホワイトデーを繰り返す。でも最近は、ちょっと照れてしまう。白鴉は本当にカッコよくなったから、手作りチョコを渡してにっこり笑われると、心臓がドキドキしてしまうのだ。ぼくはそれだけで胸がいっぱいだったから、今年はお返し何が良い?って聞かれたときに何でもいいよと答えた。白鴉も、この人みたいに一生懸命探してくれてるのかな?

ふと、すれ違った人がぶつかった拍子に、鞄に入れておいた家庭科用のリボンテープが転がり落ちた。声を上げる暇もなく赤いテープはころころ転がって行って、丸められたそれはちょうどその人の足元で止まった。


「ご、ごめんなさい…!」

「ん?ああ、これか」


振りむいたその人を見て、ぼくは内心ひょえっと息を飲む。男でこんなに綺麗な人を実際に見たのは、始めてかも知れない。さらさらとした銀髪に、印象的な蒼い目。その人はかがんで、リボンテープを拾い上げた。拾い上げて、まじまじとそれを見つめる。


「、あの?」

「あ、ごめんね。はい、どうぞ」

「ありがとうございますっ」


所々ついた埃をはらって、その人はリボンを手渡してくれた。見た目が綺麗なだけじゃなくて、優しい人なんだな。ぼくはもういちどすみませんでした、と謝るとその人は少し笑って、僕の方こそありがとう、と呟いた。


「?」

「あ、何でもない。それより、そろそろタイムセールス始まるんじゃないかな…?」

「わ、本当だっ!」

「うん。頑張って」


僕が腕時計で時間を確認すると、もうすでに開始一分前を切った所。今日の目的である品の特売は見逃せない。手に持ったチラシを握りしめると、その人はそれじゃあ、とスーパーの出口に向かって去って行った。慌ててさようなら!と声をかけて、ぼくはぼくの目的場所へと走り始める。あれ、そういえばあの人。渡すものは決まったのかな…?





リボン→巻く物←ラッピング→私がプレゼントv…?→でもロラサンにやったら怒られそう→じゃあ自分がやればいいか

という考えが、数秒でイヴェールの脳内をかけ回ったに違いない←

イヴェが何気にエスパーみたいなことしてますが、それはルキアの持ってたチラシを見たのが原因です(^J^)//







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