琴イ「よいしょっと」 ロ「イヴェール、何それ…?」 「ん、子供向けのおもちゃのピアノ」 「まじで?触らせて…!」 「良いけど」 「…おもちゃのくせに音が出る」 「楽しそうだな。あんまり叩くと壊れるぞ」 「おもちゃって言っても、ピアノ触ったの始めてだし…。裏の酒場にあるやつは少しでも触るとおっちゃんが怒るから」 「ああ、あのピアノ高そうだよな。有名なシンガーとかにも依頼するから、あそこ」 「儲かってんだよ。それより、これどこで盗ってきたんだ?」 「人聞きが悪い。盗ってきたんじゃなくて、元々古くなったものを貰い受けただけ」 「へー…。っあ!これ音階じゃね!?えーと、じゃあここがド…?」 「……それ、ソ。そこから音階だと七番目がおかしいだろ。その七番目は黒いとこ」 「…俺ピアノ弾けてる!」 「おしいけど違う!最後一個飛んだぞ!!…もういい、貸せ。僕が弾いてやる」 「弾けんの?」 「昔かじってた程度だけど、ほら、これとか」 「おお、これどこかで聞いたことある…!」 「前に長期で忍び込んだ屋敷あっただろ、そこでよく流れてたやつ」 「すご…、!他には!?」 「……じゃあ、これ」 「! 分かった、あそこ、花屋の近くの酒場でよくやってる!」 「正解。よく覚えてたな。曲名は?」 「知らない」 「当てたら、来月予定の仕事、情報操作の担当代わってやる」 「え、まじ!?え、えーと…、待てよ。確かパーンと飲みに行ったときに、教えてもらったような記憶があるようなないような」 「期限は三十秒後だから」 「早!えっと、えーっと、あ、あれ思いだせな…」 「はい時間切れ。ローランサンは答えがでなかったので、今日のワインは没収です」 「は!?へ、ワインって、今日ので最後だろ!」 「次の仕事が終わるまで、飲酒はおあずけだな」 「半月以上禁酒しろと…っ」 「残念だったねぇ」 「ぐっ!あ、ていうか結局曲名は!?」 「知りたいか?」 「お、おう!」 「…ジュトゥヴ。じゃ、ローランサン僕は少し出かけるから、くれぐれもワイン飲むなよ?」 「……っ!!」 イヴェールは、楽器なら大抵扱えると信じてゐる← ジュ・トゥ・ヴ、は有名なピアノ曲で、日本語訳だと『お前が欲しい』になります。べたな子…! もちろん、ロラサンは大打撃をくらいました。 |