狐の恩返し?@




パラレルです。村人(←)ロラサンと狐イヴェになる予定。まだ序章。







町外れの深い森、雪で閉ざされたそこには美しい化け物が住むという。







「やば、降ってきた」


空から落ちてくる雪に見とれる暇はなく、俺は歩調を速めた。朝からの用事で疲れた体が悲鳴をあげてるし、夕暮れも近い。それに早く家へ帰り、飢えたお腹の虫をなだめ、体を暖めてベッドの住人になりたい。そんなことをひたすら考えながら歩いていると、帰り道の厄介な難所に差し掛かった。立ち止まった俺はマフラーぐいっと口元に引き寄せ、それを睨みつける。




「…どうしよう」



目の前に横たわるのは、常緑樹が密集する小さな森。周辺に住む人は、昔からこの森を避けて通る。俺も例外に漏れず、いつもなら遠回りするんだけど、遠回りすればその分体力と時間を削ってしまう。疲れている今日は特に。赤い色を反射した闇が広がる森。俺の家は丁度森の向こう側だ。通り抜ける勇気さえあればすぐに家に着く。明日も朝から仕事で、体力を残しておくに越したことはない。ひゅう、と後ろから吹いてきた風が、迷う俺を後押しする。

息を一つ大きく吸って、俺は真っ直ぐ進んだ。





『町外れの森、そこに入ってはいけないよ。入ったら森の主に呪われてしまうからね』





不気味さを助長するように、耳の奥でこの森の言い伝えが木霊する。鳥の鳴き声一つにも緊張しながら、前だけ見て進むこと10分弱、ようやく森が途切れてきた。
元々そんなに深くはない森で、迷うまでもない。ただ、ひんやりと足元から這上がってくる異様な冷気だけが、森の言い伝えを静かに肯定していた。はらはらと木々の間を通り抜けてくる雪が、量を増す。
このまま無事に帰れると良いんだけど、と溜め息をはいた刹那、目の前を影が横切った。なんてタイミングの良い。



「ぅわっ!?」


も、森の主…?呪われる?いや、そんなばかな。呪うんだったら俺が入り込んだ時点で事を起こす筈だ。今更とって食ったりしないだろ。
心臓が早く脈打っている。思わず閉じていた目を、おそるおそる開くと、そこには森の主ではなく予想外の光景が。


「き、狐……」


綺麗な銀色の毛波の、狐が倒れていたのだ。






続きます!










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