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予想に反して雪は降らなかった。しかしピン、と張りつめた糸のような冷え込みのせいで、暖房を緩く利かせただけでは身体の芯は暖まらない。

俺は更に暖房の手の範囲外にある洗面所にずるずる座り込んで、震えが止まらない肩を何とか押さえこもうとして失敗していた。確かに俺は今、冬の冷える夜にするべき格好をしていなかった。下はボクサーパンツ一枚で、裏地をべったりと××で汚してしまったシャツをボタンも留めずに引っかけているだけ。震えが止まらないのは当たり前のことで、当たり前のことにしたかったから今ここで時間を潰しているのかもしれない。

風邪をひいた時のような、上ずって今にも喉に引っかかりそうな熱さは、腰の辺りに蔓延する鈍痛とも相まって悪寒をもたらす。のろのろと顔を上げて鏡を覗き込み、変な顔をしている俺と目があった。兎はいない。――ぶたまん、折角奢ってもらったのに駄目になったな。ぼんやりと考えて、あのつぶらな瞳が急に恋しくなった。


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