長さと作り方は指定されていなかったので一時間半程で適当な長さまで編み棒を駆使して編み終えた。慣れると使い勝手が良くてこっちの方が早くできるのだ。男のくせに本格的でキモイとよく罵られる(特に本格的じゃないイヴェールに)けど、自分でも女みたいで気持ち悪いと思う時がある。思うだけで、口に出したら最後クラスの女子による血祭りが開催されるだろう。嫌だ女子怖い。

勿論編み棒を使うなんて高度なこと、外見に反比例して手先不器用のイヴェールにできるはずない。本人も十分それを自覚して、手元には希望者に配られた丸缶に割り箸をくっ付けたものを予め用意してあった。しかし予想通り教師の口説明だけで理解しきれていなかったイヴェールに実演でやり方を教え込み、構造を理解した後は割とするする進めているので残りは自力に任せることにし、時折様子を見つつ放置プレイを決め込んだ。

のが授業が終わって役30分が過ぎたくらいかな。10分前後おきにイヴェールの手元を覗くと、所々目が飛んでいたり穴が開いていたりしたが、愛嬌で済ませられるうちだったのでそこまで細かくは言わないことにする。

黙々と作業すること数時間。教室には既に誰もいなかった。完成したものにネームタグまでつけ終わったからには、することもない。手慰みに繰り返し窓に落書きしては消していたがそれも飽きて、いつの間にか俺は机に突っ伏して寝ていた。隣に薄ら残る兎に見つめられながら。











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