――しかも大問題が俺の中に1つ発生して、おかしな関係を築き上げるうちに、どうやらどうしようもない感じでイヴェールを好きになってしまったようだった。それに気づいた時ちょっと泣いた。これまでちょっと可愛いなー、お近づきになりたいなーなんて思っていた女の子たちとさよならしなければならなかったからだ。妄想の中で。さよなら○○ちゃん××ちゃん、君たちの柔らかくて良い匂いのしそな姿は忘れない。そしてこんにちは、イヴェールののっぺらな胸筋さん。

一晩だけ枕を濡らして、最後に出た結論は「イヴェールにおっぱいがついていたら一目惚れだった」である。俺も男だということの証明だ。何も恥ずべきことではないので、ある日のそういうことをしている最中に、イヴェールが好き云々を抜かして本人に申告してみたら、本番真っ最中だったにも関わらず頭を叩かれ「萎えた」と言われた。おっぱいのくだりは怒っていたが、一目惚れと言われて悪い気がしないのか、若干目元が赤くて照れている様子には胸がきゅんと疼いたものだ。



実は、やらしい行為の行き着くまで行き着いた先はあまり気持ちいいと感じられるものではなかった。何せそこまで到達した頃には既に例の夢を見始めていたし、性行為そのものに抵抗を感じるようになったのだ。イヴェールの這い回る手は腰が引けるほど怖いものではなく、始めてしまえば夢を忘れて没頭できたが、前戯はともかく挿入は駄目だった。こればっかりはどうしようもならず、必死に力を抜いて熱を受け入れ、せめてイヴェールが気持ちよくなるよう、言うことを聞かない下半身を締め付けたり緩めたりする。

これに関しては素直にイヴェールも気持ちいことを教えてくれるので(ナニが)、俺は感じてるその顔を薄目でうっとり見てるだけで満足だった。それなりに回数をこなしているけれど、俺が最後の最後までイってないことに彼は多分気づいてない。それで良い。コンドーム越しでも一番好きな熱を感じて、理性も吹っ飛ぶような快楽を与えることができたら。この時の気持ちを言うなら、試合に負けて勝負に勝った、というのが言い得て妙で良いと思う。そして最近専らの野望は、生で中だしされたいなという下品極まりないことだ。そうするにはどうするか、最中の時だけよく働く頭が策を練って釣り竿を立てる。

この時の俺は、少しだけ夢の中の主人公に似ていると思った。もう一人の本意を裏切って、逃げて逃げて逃げて。逃げるのは追いかけてほしいからだ。逃げる時にも巧妙に痕跡を残して、追っ手を引き付ける餌を垂らして、寸での所まで追い付かせたと思わせておいて、また狡猾に逃げて。現実の俺も、イヴェールが俺の望み通りに動いてくれるよう、うまく罠を隠して引っかけて、と。まあ夢の中の俺は最後には捕まってしまうのだけれど、現実の方もいつかイヴェールを騙し騙し付き合ってるのがばれるのだろうか。それは嫌だな、大人になる前に、まだもう少しこのおかしな行為を続けていたい。











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