悩ましげな息が上から降ってくる。足の間の信じられないところから熱いのが抜き差しされる度に、嫌らしい音が部屋の至る所に当たって砕ける。本来の使い道をされていない期間はずっと焼けるような熱を訴えていて、握りしめたシーツを自分の方へ強く引き寄せた。かろうじて体裁を保っていたベッドがぐしゃぐしゃに乱れて、まるで自分みたいだ、と天井でぼんやり行為を見つめている傍観者の自分は思う。



イヴェールと面識を持った時は、あまり仲良くなれそうにないなぁというのが第一印象だった。今は考えられないくらいイヴェールは俺に無関心で、俺はどちらかというと彼の双子の兄弟と仲が良かった位だ。まぁ現在は笑いの種にされる程昔の話だけれど。

仲良く、というかただのクラスが同じやつというポジションから、
今に様な気の置けない仲になるまでの変化は急激だった。何処の何がお互いに化学反応を起こしたのかは、当時の二人に聞いてくれないと理解できないだろう。

いや、確実に言えるの理由が一つある。話すようになったきっかけは、俺が物凄く腹が減っているイヴェールに、持っていた携帯食料を分け与えた時だ。最初の話題は『カロ○ーメイトを食べた後の喉の渇き具合』である。その後ちゃっかりペットボトルを奢らされたことまで思い出して、あれもしかして俺は一般的に餌付けと言う行為でイヴェールを懐かせたのだろうか、とは積年の疑問だ。

しかし本気できっかけを思い出せないのは、二人が異常な行為に踏み外した時のことである。付き合いが増えたころはそれなりに健全な友情を育もうと努力したものの、二人に友情という単語は当て嵌まらず、「ローランサンとイヴェールは友達なのか」という質問に対して「友達……なのか?さあ?」と答えるのが普通だった。それでは良くないと発破をかけたのは誰だったのか。あ、そうだ、そうそう、思い出したかもしれない。発破は誰にしろ、もっと身近な関係の方がぴったりくるのでは、と怖いもの試しと冗談交じりにキスしてみたことがある。そうだ、思えば多分これが原因なんじゃないのか。

一歩階段を踏み間違えれば転がり落ちるのは早いもので。やっと安定した二人の位置に表向き「友情だ」と看板をつけて、裏では中学生でもないのにおかしな行為ばっかりしている二人がいた。何となく寂しい時、物足りないとき、お互いの嫌悪感がないのを良いことにやれるところまでやってみて。それでしっくり満足してしまったのだから今更もうやめようとか言えるはずない。










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