5万打御礼企画 | ナノ
「おいおい、こんな堅くしてなーにを期待してんだか」
「ちょっ、おい太一!」
「どうしたもう出ちまいそうか?耐え性ねぇなあ」
くつくつと喉の奥で笑いながら膝と腿ですでに堅くなっているムスコをぐりぐりと刺激してやれば、焦ったように腰を引く。本気で焦ってるのが面白すぎて笑いが止まらない。さらに追い打ちをかけようとすれば、切羽詰まった顔してギッと本気で睨まれた。
「やめろ太一、本気で襲うぞ…!」
ああ、いいねぇ、最高だねぇ。たまには良い顔すんじゃねぇか。
本気で威嚇してくれてるとこ悪いが、俺は今、もう楽しくて楽しくて仕方ない。だってこんなにイビりがいのあるやつもいない。こいつがこんな簡単に手の上で転がってくれると最初からわかってればそうしたものを。きっと俺は、今そうとう酷い顔で笑ってるに違いない。
「…やってみろよ。据え膳食わぬは男の恥だぜ?」
「……っ」
「───てめぇが決めるんだよ」
ヤるか、ヤらねぇか。
強引にタイを引っ張って、唇が触れるか触れないかの距離で囁いてやる。ぞくっと体を震わす素直な反応に無意識に口角がつり上がった。ああ、こいつの脳内見てみてぇ。乾いた唇を舐め上げる。
「………っ」
数秒の沈黙。
そしてついに意を決した新見が口を開く───と思った瞬間、しかし、ゴッと鈍い音がして上から新見がフレームアウトして。これはまた綺麗に吹っ飛んだな。つーかどいつもこいつも一級品の扉を力任せに開けやがって。
ああ、残念。
「時間切れだ、ガキ」
***
「だーかーら、あんなんお遊びに決まってんだろ?ちょっとした茶目っ気じゃねぇか」
「どうだか、もしあのクズが頷いてたらヤらせてたんじゃねーの?」
吹き飛んだ衝撃で魂でも抜けたんじゃないかと思うほど呆然としている新見に、当初の予定通りお仕事を言いつけ追い出してから此の方。目の前の男の機嫌は一向によくなりゃしない。めんどくせぇな。あんな戯れになにを目くじら立ててやがる。
「だいたい、あんな奴に本気で襲われたところでヤられるわけねぇのわかってんだろ」
「だからこそ問題なんだろうが!つまりてめぇが許してたってことだろ!」
「乗っかることだけな」
あいつからは指一本触れさせてない。もしも触れてこようものならパンパンに膨れ上がってたあの急所を蹴り上げてやりゃよかっただけの話。
んなこたわかってるだろうに、こいつはなーにがそんな不満だったっつーのか。
「ったく、もう少しであの宇宙人を躾られるとこだったのに」
「だとしても煽りすぎだ!」
「飴と鞭は躾の基本だろ?」
当たり前だとニヤリと笑えば、返ってきたのはあからさまに呆れたため息。なんだよ、まだ機嫌直んねえのかこいつは。いつもは俺がなにしようが気にせず放置のくせに。つーかお互いが他に興味持つなんてないからこそ、信頼という名の放置がまかり通っているわけで。それなのに今日はこんな引きずりやがって、俺ぁそんなに宇宙人に靡いてるように見えたのか?あんな奴を本気で誘ってるとでも思ったのか?自分だって散々かわい子ちゃんとジャレてるくせに、いっちょ前に俺のことは浮気だと責めるのかよ。ああくそ、そろそろ俺もイライラしてきた。
「いい加減にしろよてめぇ。どういうつもりで俺のこと責めてんだよ、ああ?」
「それはてめぇが!」
「あ?」
向こうも大分イライラしていたようで。俺が好戦的になるやいなや、衝動的に肩をバンと壁に押し付けられた。
いってぇなこの馬鹿力、ふざけんじゃねぇ。苛立ちと痛みにギラッと睨み上げれば、険しい真剣な顔した男から想定外の言葉が飛び出した。
「俺はあんなに煽られたことねぇ!!!」
「…───はあ?」
開いた口が塞がらなかった。
おいおいちょっと待て、勘弁してくれ。もしかしてこいつは、この偉大なる風紀委員長様は、こんな理由であいつを吹っ飛ばした上に不機嫌だったっていうのか?え?おい、ほんとに?
あまりに衝撃的な言葉にすぐには理解が追いついてこなかったが、理解したらしたで今度は笑いが止まらなくなる。まじかよ、なんだそれくだらなすぎる。なんなんだよ。
「おっまえバッカじゃねーの!?」
「ざけんな俺ぁ真剣だ!」
「正気かよ?」
やばい、笑いが止まらない。さっきとはまた違った意味で涙が出そうだ。今日はよく泣かされる日だな。至近距離で真剣な顔してるのに悪いとは思ってる。恋人がこんなアホみたいなことで嫉妬して拗ねてるんだ、俺だって悪いと思うくらいの良識はある。
───ある、が、しかし、残念ながら笑いを止めることなど至難の業。
笑いすぎて咽せていると、肩を掴む手に力が入る。隠しもせずに目の前の嫉妬やら不満やらでイライラ全開の顔に、勝手にますます口角が上がった。
「笑ってんじゃねぇ、もっと俺のことも煽ってみろよ」
「っくく、バカ言ってんじゃねぇよ」
「は?」
「てめぇは煽る前に喰いつくだろうがアホ」
待てなんざできた試しがねぇだろう。待てもできない駄犬には、煽りも焦らしもあったもんじゃねぇんだよ。
鼻で笑いながら言ってやれば、綺麗に額に青筋が立つのが見えた。おおいいねぇ、戦闘開始か?受けて立とう、とうっそりと目を細めてやる。
「良い度胸じゃねぇかてめぇ…今日はお前が泣いて請うまでどろっどろにしてやるよ」
捕食者の、絶対的な眼差しの強さに一気に興奮する。最高な宣戦布告。たまんねぇ。喰われそうなギリギリの状況でこそ、煽りがいがあるってもんだ。
興奮して乾いた唇を湿らせる。
「受けて立ってやるよ───てめぇが挿れさせてくれって懇願すんの、楽しみにしてるぜ」
*end*
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