「…ッ、ん、ぁ…」
自分のモノを包んだ手をゆるゆると前後させる。もどかしい程にささやかな刺激に、さらなる刺激を求めてもっとと腰が揺れる。しかしその腰の動きに合うように手が動き、刺激はさらに切ないものとなる。焦らされに焦らされる体がどうしようもなく辛くて、ぼろぼろと涙が溢れ落ちた。
『まだだユウヤ、前だけじゃ物足りないだろう?』
「っあ、ひ…!」
つぷん、と後ろに入ってくる滑りを帯びた指。ただそれだけで、びくりと背中がしなる。ぬちゅぬちゅと淫らな音をたてながら出入りするそれに、受け入れることに慣れきった体はすべてを快感として享受する。
「ひ、ぐ、んッぅ…」
『声を殺すな』
「うぁっ、あ、あ…!」
増やされた指に弱いところだけに焦点を絞って刺激され、あられもない声が勝手に口をつく。執拗にぐりぐりと刺激されるソコから全身に走る快感に、三点で体を支えていられずがくりと片腕が崩れた。肩と腕をシーツへとつき、尻だけを上げた馬鹿みたいな体勢で、ただただ体を震わせる。
「ッ、ッ、あ、やっ…」
止まらない刺激。自分自身のものなのに制御の利かない体。
絶頂へと駆け上がっていく感覚に、ギチリとシーツを握り締めた。
「ッ、あ、ああっ」
『…そう、良い子だ』
「―――ッ!」
ビクン、跳ねる体。ぱたたっと白濁がシーツに飛ぶ。
同時に一気に襲ってくるのは倦怠感と虚しさ。ずるっと後ろから指を抜き、力の抜けきった体をごろりと仰向けに転がす。暗闇の空間に響くのは、自分の荒い息、それだけで。
「…あー、くっそ」
酷く虚しくて、切なくて、屈辱的で、腹立たしくて。
誰も見ていないのはわかっているけれど、腕を顔に被せて隠す。こんな情けない姿、絶対に誰にも見られたくない。
脳裏に浮かぶのは、こんな体になった原因の人物。厳密に言えばそもそもの根本的な原因はあいつというよりも神子様なんだが、しかしこんな、後ろの刺激だけでイケるような体になったのは、どう考えてもあいつのせいで。
「こんな体に、しやがって…」
まさか自分で弄りながら、想像のお前の声で果てただなんて、口が裂けても絶対に言えない。言えはしないが、会ったら殴る権利くらいはあるはずだ。そんなことを思いながらシャワーを浴びるために起き上がる。
帰ってきてからというもの、毎日のように見るあの夢。とりあえずこれで、今日はもうあんな夢は見ないだろう―――そう、思いたい。
*end*
そして冒頭へ
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