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ろくとさんへ
相手の事をボコボコにしてからぶち犯してちゃんと手当とかしてまたボコボコして犯す不良攻め








『ぐあぁぁあアアッ!!』



数分前まで響いていた心地好い悲鳴。
やめろ死ねクソヤロウという意味のない罵声。
けれど決して媚びも懇願もしない強い光を灯していた瞳。
思い出すだけで、ぞくりと総毛立つほどの色気。

今は気を失ってすべて隠れてしまっているが、とにかく、とにかく愛しくて仕方がない。
殴りすぎて切れてしまった肌の血を優しく拭う。ぐったりと横たわる体はかなり重かったが、床よりはずっと楽そうだから、運んだかいがあったというものだ。



「ん……」



生傷を舐めて消毒する。どす黒く変色した痣にも痛みが引くようにとキスを落とす。無理矢理割り開いたせ いで切れてしまったところも丁寧に労ってやった。
眉を寄せ、一々反応を返す姿に口の端がつり上がる。



「―――可哀想になぁ」



寝ている間は酷く優しくしてやりたいと思う。
大切に大切に、どろどろに甘やかしてやりたいと思う。

だがしかし、ひと度こいつが起きてしまえば、俺の思考は簡単に塗り潰されるのだ。


泣いてみろ。懇願してみろ。 泣き叫んで、喘ぎ狂って、お前のすべてを曝け出せ―――…





「ん…ぁ…?ここ、は…」
「よぉ、起きたかお姫さん」
「って、めぇ…っ!」



あぁ、堪らない。
ボロボロの体を引き釣り、なるべく離れようと後ずさる姿。まだ鋭く睨み付けてくる瞳。全身から発せられる殺気。
すべてが俺を、掻き立てる。



「俺に触るな…!」
「随分と大口叩くじゃねぇか、え?」
「っ!」
「まだわかってねぇなら、またじっくり教えてやるよ」
「来るなっ!」



それでいい。
簡単に堕ちるようならつまらない。
いつまでも抵抗し続けるお前が愛おしい。
その、決して折れることのない心が、どうしても欲しいから。


ぎりぎりと睨んでくる男にニヤリと笑いかけ、パァン!と横っ面を殴って吹き飛ばす。ボロボロで力の入らない男の抵抗など露ほども感じるわけがない。力なくベッドの上で倒れ伏している上に馬乗りになって前髪をわし掴む。
唇が触れるか触れないかのところまで顔を近づけ、そっと囁く。



「お前は俺のもんだ。逃げ出すなんて許さねぇよ」



絶望と、恐怖と、屈辱に歪む顔。
そんな甘美な反応をしてくれるなよ、止まらなくなるだろうが。嗚呼、愉快で愉快で、堪らない。

振り上げた拳。
お前はまた、恍惚とするような悲鳴を聞かせてくれることだろう。けれどそれでも、光を失わない瞳は睨み 付けてくるのだ。
そううっとりと想像しながら、その精悍な顔へと叩き込む。



―――逃がしはしない。
捕まったのはお前だが、捕まえたのも、お前なのだから。




―――――
TwitLongerより
Twitterでの2013年お年玉企画でリクエストして頂きました



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