短編 | ナノ

油断大敵。とは言え、私だって人間である。ふとしたときに無防備になってしまうものだ。その瞬間、隙をついて奴は現れる。今日は黒板を消し終わって鞄に荷物を詰めていた時。





「おつかれさん」
「うわあっ」
「今日もええ太ももしてはりますねぇ」
「ちょ、触んな…!」
「ええやないですか、減るもんじゃなしに」





背後から、いつの間にか腰、太ももに回った手。離せと暴れてもぎゅっと抑えこまれて抵抗は叶わない。くそ、男女の力の差め。

ある時は掃除をしている時、またある時は本を読んでいる時、またまたある時は友達と話しながら教室移動している時…もう両手じゃ数えきれない程されたセクハラ。他の子にはアドレス聞いたり、かわええなあって褒めたりしてるくらいなのに、何故か私だけされるセクハラ。同じ塾生だからとも考えたけれど、出雲ちゃんもしえみちゃんも被害に遭っている様子はない。自意識過剰にも、私に好意があるんだろうか、とも考えない訳でもないけど、それはないと思う。そんな魅力はないし、というか女らしくないし、まずありえない。






「ちょっ、誰か!勝呂くん!三輪くん!」
「あ、2人なら先に帰りましたえ」





ついでに言うと、他の子も帰ってしまったらしい。最悪だ。いつも真っ先に帰るのに、遅れたらこれだ。更に手はブラウスの中、お腹の辺りを這う。ちょうど耳元では志摩の吐息が聞こえる。慣れない、慣れたくない感覚に鳥肌が立つのがわかった。





「もう、なんであたしばっか…!他にもいるじゃん!」





そこでぴたっと動きが止まる。あれ、なんで?何とも言えない気持ち悪さに、腰に回った腕のせいで離れることはできないが、首で振り返る。





「…だめなんや」
「は?」
「だめなんや、他の子じゃ」
「…え」





いつになく真剣な表情、声。これは、まさか。ありえない、と一蹴した可能性を頭に浮かべる。次の瞬間、





「他の子は細すぎるんや」





こいつに期待した私がばかだった。





「このくらいの肉のつき具合がちょうどええ。やらかいし、触り心地ばつぐんで」
「ふざけんなデブ専!他あたれ!」
「デブ専ちゃいます!女の子みんな好きなだけですさかい」
「もっと性悪いわこのどすけべ!」
「あーお尻やっぱ最高や」
「話きけ…ってか揉むなー!」






11.0919
いやら志摩家さまに提出しました
変態な志摩くんバンザイ


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