スケベでナンパでざっくり言ってしまえばチャラい。そんな志摩廉造のことは、嫌いではない。害はないし、そもそも私は基本的に人を嫌うことが少ない。けれど、彼の笑顔はどうにも好きになれない。苦手だ。しかし彼がどうして絶えずにこにこしているのかと言えば、きっと上手く生きていくためで、同時に愛されるためなんだろうと、稚拙ながら私の頭では想像できる。しかしそう考えると、その笑顔を愛さないというのは酷い話なんだろうか。というか、何故愛せないのか。 「顔なんかついてます?」 「…目と口と鼻と、」 「いや、そうやなくて」 滅多に志摩と一対一で話すことはない上に、私が人の顔をしっかり見ることも珍しい。自分でも変だ。余りにも変な顔でもしていたのか、志摩が頬に手をやりながら話かけてきた。私は机に肘打ちしながら見たままのことを伝えると志摩が困ったように苦笑いした。しかし、尚も穴が開かんばかりに見つめていると、志摩は眉を八の字に曲げた。たれ目でもともと情けない顔が更に不甲斐無くなる。優男度合いが増した。 「そないに見つめられたらかないませんわ」 「ごめん、ちょっと考え事しててさ」 「まさか俺のこと考え」 「てないですよ。志摩見てた訳じゃないんだけど、たまたま」 「ええー残念やわぁ…」 「……」 また困った様子で笑う。…どうして笑う。外国人と違って日本人は困った時にも笑う、そんな話を思い出した。とすれば、君が今笑っているのは日本人だからか。いいえ、それだけ、じゃないんでしょう。本当は何か思って、隠すの。それじゃあ、その君を愛したら、きっと私は悲しい。それに悔しい。あくまで仮定の中の話だけど。 「ごめん嘘言った」 「え?」 「志摩のこと、考えてた」 そう言ってやると、志摩はかなりのアホ面を晒した。まさに、ぽかーん。盛大に笑ってやる。こんな顔もするのか。 「…っそれ反則ですわぁ」 「はっはっはーざまみやがれー」 「それどういうキャラなん…」 「まあ、深い意味はありません」 私はどうして志摩のことを考えていたのか、それはただ単に珍しく人の苦手なところを見つけたからというだけだろう。でもそれでも特別には変わりない。そう君はある意味で特別なんだよ、私にとって。だから私もあなたの特別にしてよ、ずるいじゃない。 11.1208 途中で何書きたいかわからなくなりました。お粗末さまです ■ |