短編 | ナノ

交わりそうになったら、わざとらしくそらす視線も。あなたには誰にするよりもにこやかに挨拶をするのも。全部、ぜんぶ計算の上です。その理由、わかりますか。





「副長、おはようございます」
「おう」




今日は副長と二人で見回り。パトカーの中には運転しながらタバコを吹かす副長、とその横顔を飽きることなく眺める助手席に座る私。かっこいいなあ。ふと、ん?と視線に気付く副長。何事もなかったかのように進行方向を見ながら、異常ありませんねぇと呟く確信犯。そうだな、と首を傾げる副長。
ねえ副長、二人っきりなんですよ。そして私の誕生日はもう少しなんですよ。ちょっと期待しても良いですかね。ちなみに山崎さんから情報はあがってるんですよ。誘われるの待ってみてるんですよ。自意識過剰かもしれないけど。





「…なァ、苗字」
「はい、なんですか?」
「………」
「副長?」
「今度の日曜…」
「はい」
「…いや、やっぱりなんでもねェ」
「…そう、ですか」





あぁもう、じれったいなあ。今日もそうやってるつもりですか。本当に日が暮れちゃうな、これじゃ。
本当は今日の見回りは土方さんと沖田さんだったのをかわってもらったんですよ。おかげでこの一週間パシられることになっちゃったんですよ。わかってますか、その意味。別に真面目ぶってるわけじゃないんですよ。それに、さっきだって土方さんが視線を感じたのは間違いじゃないんですよ。それから十五分、車内は沈黙。土方さんのタバコは3本目。

わかりました、そういうことなら。





「あの副長、」





こっちからいきますから、覚悟してくださいね。








11.0924

BGM/意気地アリ(チャットモンチー)
この曲かわいくてすごく好きです


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -