事の衝撃と言ったら、危うく箸を手から落としそうな程だった。実際にそんなことをしては目の前のお方に行儀が悪いだのなんだの姑のようにくどくど言われてしまう(実体験より)からしない(出来ない)けど、それくらい驚いた。 「今、なんて、」 「…だから、その最後の一口の朝食を食べ終えて」 そしたら出かけるよ。やっぱりそう言った。口元まで見てたんだから間違いじゃない、いや、私が雲雀さんの言葉を聞き落としたり聞き間違えたりすることは天に誓ってないはずだけれども、やっぱり聞き間違いじゃない。 「し、仕事ではなく」 「うん」 「荷物持ちでもなく」 「うん」 「買い物の護衛でもなく」 「君のどこを見て護衛を任せるっていうんだい」 じゃあほんとに、プライベートというやつなんですね!自然とキラキラ輝いてしまう瞳を雲雀さんに向けると怪訝な顔で返された。 「遂に初デートですね!」 「それは違う」 そんなことありません!男女がプライベートで出かけるなんて…これはれっきとしたデートですよ!私、遂に憧れのあの方とおデートでございます! 高揚し切った気分のまま向かうはクローゼット室。廊下の途中の曲がり角で獄寺くんに頭からアタックして怒鳴られたけど、無敵な私はそんなんじゃ怯みません。そう、恋する乙女は敵無しなのです。雲雀さん、なんとかあと1時間で隣を歩かせても恥ない女に生まれ変わるのでどうか待っていて下さい! 恋は盲目、まっしぐら (20100920:恋する少女は敵なし、なのです!) ■ |