Aはエイミー、かいだんおちた。


 先生の綺麗な声が教室に響く。
 一人一冊、手元にある副教材(またの名を絵本ともいう)を開いて、ぼんやりとページに視線を落とした。
 きっと授業で絵本を使う高校生なんて滅多にいない。
 だけどそれでも良いと思った。先生が好んでいる本だから。
 それにしても、今日は先生の顔が赤い。少し息も荒いような気がする。体調が悪いのだろうか。
 不安に思って隣の久藤君に尋ねると、別に大丈夫じゃないかな、と返ってくる。私は久藤君の左手が不自然にポケットに突っ込まれているのを見逃さなかった。
 何を入れてるの、と声をかけようとしたけど、小節さん私語は謹んで下さい、と先生の声。私は何も言えなくなってしまった。


 先生の綺麗な声が、今日も26人のこどもたちの最期を告げる。
(その声が震えている理由は一体、)



 ギャシュリークラム



階段から落ちたのは私かもしれない




―…―…―
息が上がるの授業風景
あびるちゃん視点
絶望先生は出てくる女の子がみんな可愛すぎる

※「ギャシュリークラムのちびっ子たち」エドワード・ゴーリー著
Aから始まりZで終わる数え歌
気になる方はご自分でお調べ下さい


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