※まとい→望←霧前提のまと霧
※百合えろ









真っ赤な果実を置いたなら、それが二人の秘密の合図。






真っ赤な果実






ん、と小さな声が漏れた。柔らかな乳房の先の方の尖りをゆるくつまみ上げると一際高い声が響く。

「んっ……あ、あ、……うん、そこ…」

まといは自らの指を軽く舐めて湿らせた後に霧の下腹部に這わせた。霧のそこは既にぬるりと濡れていて、細い指をすんなりと受け入れる。

「ぁ、あ、っ……ん、んぅ」
「腰、揺れてる……」
「ん、だって、きもち、いぃ…から……」

霧もまといの下腹部に手を伸ばして同じように中を探った。ぐちゅぐちゅと卑猥な音をわざと奏でさせて、互いの羞恥を煽る。

「や…あぁっ…!そこ……っ」
「きもち、いいでしょ?……んっ、あっ」
「だめ…まって、指で…いっちゃ…っ!」
「いいよ…いきなよ…っあ、あたしも、いきそう……」

快感が高まって、声を抑えることもできずにいる。達しそうになった時に互いの口から漏れた言葉は同じだった。

「「せんせいっ…」」





互いに馬鹿なことをしている、という自覚はある。
いつからこんなことを始めたのかは定かではないが、好きな人への届かぬ想いを、届いていても叶わぬ想いを、互いにぶつけては慰めている。
二人の内どちらかが彼と唇を重ねれば、それを二人で共有する。互いの唇を、指を、彼の物と重ね合わせて触れ合う。彼は唇までは許しても、心は許してくれない。

先生にとってはキスなんて戯れのようなもので、自分たちの想いが受け入れられることはないのだととっくにわかっている。
生産性のない、不毛な関係。
自分たちは歪んでいるな、なんて、達した後の倦怠感に包まれた状態でまといは思った。


行為に至る時は、真っ赤な果実が目印になる。
テーブルに置かれたままの赤い林檎が、寂しげに転がった。








2009.9.8
25000hit企画
まと霧/裏


BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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