※無理矢理/鬼畜/黒久藤です。苦手な方は今すぐバック










 止めてください、と弱々しい声を漏らしながら本棚についた手は酷く脆く見えた。
 きっちりと着込んでいた袴はもう既に見る影もなく、申し訳程度に羽織っているだけ。
 閉館のプレートをかけてはいるものの、いつ人が来るかよくわからない放課後の図書館で、先生は生徒である僕に良いようにされている。声が震えていて、嬌声に混じって嗚咽が聞こえるため、恐らく泣いているのだということはわかるのだが、後ろから犯すこの体勢では表情なんて見えないので、実際の所はどうなのかよくわからなかった。

「っ、も、…や、め…っ」
「さっきからそれしか言わないね、先生」

 嫌だ嫌だと拒絶する先生に自らの状況を知らしめるため、だらだらと先走りを溢す先生の自身を強く握り込み、耳元で「嘘つき」と囁いた。びくりと肩を跳ねさせ、先生はまた嗚咽を漏らす。

「ねぇ先生、本当に嫌ならこんなに感じたりしないよね」
「っぁ、やだ、っ」
「説得力がないよ、こんなになってたらさ」
「っ!」

 ここ、すっごく締め付けてる。
 こんなに感じてたら、誰もこれが強姦だなんて思わないよね、なんて囁きながら突き上げると、より一層きつい締め付けが僕自身を襲った。





 好きな人がいるんです。

 閉館後、一緒に本の整理をしている時だった。隣で棚の本を丁寧に並べている先生に、恋人とかいないんですか、なんて、何の気無しに尋ねた質問。それに返ってきた言葉は、先生のことが好きな僕にとっては喜ばしいと言い難いものだった。

「恋人はいませんが……実は、好きな人がいるんです」

 私の片想いなんですけどね、と微笑む先生に、僕の中で何かが切れたように感じた。
 そうして気付いた時には、先生の両腕を捕らえて本棚に押さえつけていた。何をするんですか、と驚きを隠せない様子の先生に、少し黙ってくださいと低い声で告げる。
 どうしてこんなことを、と言いたげな様子で此方を見つめる先生に、心の内でごめんなさいと呟いた。
 どうせ叶わぬ想いなら、いっそ粉々に砕けてしまえばいい。
 先生に嫌われれば、今みたいな距離を保てなくなれば、きっと諦めがつく。中途半端に期待をするような距離を粉砕するための無理矢理な行為だった。

「ね、自分でもわかるでしょ?全然説得力ないって」
「やだ、も…やめて…くど、くんっ」
「っ、ほら、言って下さいよ先生、自分は好きでもない生徒に無理矢理犯されて感じる淫乱です、って」
「っ…!や、や、くどうくん…っ!」

 首を小さく横に振って拒絶する先生を追い込むように激しく突き上げる。ぐちゃぐちゃと結合部が音を立てて、酷く興奮する。

「ん、っ、や、っあ…!」
「ほら、早く、」
「ひ、っ!」

 急かすように先生の自身を強く握り込んで達してしまわないようにする。そんな状態で、前立腺付近を集中的に抉るように突くと、焦れたような喘ぎが上がった。

「もう、やめて、くださ…イか、せて…おねが…っ」
「なら、先に言って下さい、そうしたら、考えてあげます」
「っ…ぁ、」

 自分でも、酷いことをしていると思ったが、それくらいしなければいつまでも諦められない気がした。先生の顔を見たら決心が鈍る気がして、後ろから抱きすくめる。

 久藤くん久藤くん、と優しく笑いかける先生。明日からはきっと、その柔らかな温かい声すら聞けなくなるのだ。

「っ、わたし、は、……っ」
「ほら、続きを……好きでもない生徒に犯されて感じる淫乱です、って」
「っ!」

 早く言わないともっと酷くするよ、と囁き、先生の自身を握りしめたまま先端を指で弾くと、先生は一際高く声を上げた。

「っ、わた、しは…っ、」
「ほら、早く」
「生徒に、ぉ、犯され、て、っ、…感じて、る…っ、や、ぁ…ぃ、淫、ら…で、ッ、…や、やだ、くど、くんッ!!」

 先生が言い終わるかどうかはっきりわからないままに、僕は先生の中を滅茶苦茶に突いた。ぐちゅぐちゃと卑猥な音が響く。先生はイかせてくれと身体を震わせながら懇願するが、それも全て無視して思うままに律動を繰り返し、先生の中に白濁を吐き出した。
 はぁはぁと荒い息を吐いてずるりと自身を抜くと、先生はそのまま床に座り込んだ。よく見ると、先生は自身からだらりと白濁を溢し、どうやら意識を失っているようだった。

 ゆっくりと先生の身体を起こし、汗で額に張り付いた前髪を払ってやる。疲れ果てたようなその顔は、僕よりも結構年上のはずなのに、僕達とあまり変わらないくらいの年代にも見える。


 行為の最中に無理矢理言わせた言葉。あえて言わせることで、決別しようと思っていた感情。だけど先生は、肝心なその部分を言ってくれなかった。

「どうして、」

 僕に気をつかったのかもしれない、先生は優しい人だから。そんな先生だからこそ、僕は先生のことを好きになったのだ。だけど。

「先生、すきです…、ごめん、なさい」


 眠る先生の唇に口付ける。
 今だけは、先生の優しさが酷く残酷なものに思えた。




優しさなんて欲しくない




優しくされたら、期待してしまうから




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -