※男娼パロ
※准望は先生と生徒ではありません










 どうしてこんなことをしているのかと尋ねれば、ただの小遣い稼ぎだと言う。

「気持ち良くて愉しくて、お金が貰えるなんて最高じゃないですか」

 くすくすと楽しげに笑って、彼は物欲しそうな目で僕を見つめる。全身からいやらしい雰囲気が滲んでいて、あまりの卑猥さに目眩がしそうだった。

「あなたこそ、わざわざお金払ってまで男を買うなんて物好きですね」

 そろりと彼の指先が僕の局部に触れてくる。彼の淫靡さに当てられて、既に熱を持ち始めたそこは、指だけでも浅ましく、貪欲に反応してしまう。主導権は、敢えて彼に握らせておく。後々での自分の楽しみのために。

 あなただから買うんですよ、という言葉は言ってあげない。「どうせ捨てる程の金なら、娯楽にでも使ったって構わないかなと思って」それは事実だ。そして、娯楽という点において、彼はその最たる人物のように思えた。
 薄く笑う彼の首筋に舌を這わせれば、「跡はつけないでくださいよ」とごねられる。
 これは以前からわかっていたことだが、彼は自分だけのものにはなってくれない。少しだけ感じる苛立ちを隠して、彼の好きなようにさせることにした。
 彼は僕の胸の突起を舌で舐めあげ、それに反応する僕を見ては満足そうに微笑んだ。ベッドサイドに備え付けられたローションを手にゆっくりと垂らし、彼は自分のそこを慣らすように指で広げていく。その卑猥な姿に煽られて自身に手を伸ばせば「だめですよ」と御預けをくらってしまった。
 ぐちゃりと湿った音がやけに響いて、小さく漏れる吐息さえもいやらしい。きっと僕は餌を前にした肉食獣のようにギラついた目をしていたのだろう。彼はいやらしい笑みを浮かべ、僕に覆い被さった。彼の体がゆっくりと落ちてくる。自身がゆっくりと彼のそこに飲み込まれていく、酷く熱くて小さく息を吐いた。
 自分が主導権を握っていると思っている彼を征服したいという欲求。彼の両足に手をかけ開かせると重力のまま急に体が落ち、彼の内部を思い切り突き上げるようになる。いきなりの強い刺激に声を抑えられなかった彼は、少し恨めしげな目でこちらを見た。しかし快楽には逆らえないようで、直ぐに自分から腰を揺らす様が面白い。

「ねぇ、気持ち良い?」
「あっ、あ、んっ……や、良すぎてっ……つら、いっ…あ、」
「……本当、やらしい人」

 彼の中、良いところを下から突き上げて、同時に彼自身に手を伸ばす。先端に爪を引っ掻けるとあっさりと彼は果てた。それに伴う内部の強い締め付けに僕も吐精する。はぁはぁと荒い息のまま、くたりと僕に体を預けてくる彼が愛しい。
 快楽に蕩ける彼の表情に、また自身が硬度を取り戻したようだった。彼の腰をつかんで、中から自身をゆっくりと引き抜こうとするが、嫌だとでも言うように肉壁が絡み付いてくる。仕方がないので彼の腰を支えていた両の手を離してやると、再び体が落ちて彼は啼いた。






 そうしてどれほど絡み合っていたのだろうか、彼はその肢体をベッドに投げ出して眠っている。柔らかそうな髪に手を伸ばして、戯れに触れてみるが彼は目を覚まさない。

(いつまでもこうして眠っていればいいのに)

 彼はきっと、明日の今頃は別の男に自分を売っているのだろう。それでも構わない、気にしない。そう思っていた自分は一体どこに行ってしまったのか。今は影も形も見当たらない。

 金で繋ぎ止められるのならば、いくらでも払ってやりたい。他の男にこの体を見せたくない。……いつの間にか、自らを覆い尽くすかのように蔓延る酷い独占欲。淡白で、物事に執着することを知らなかった自分に、こんな感情があったなんて、知りたくなんかなかったというのに。

(一生、僕だけに買われていればいい)

 そんなことを言ったならば、「重い」と一言で切り捨てられるのだろう。それだけは、避けたかった。
 彼の額から頬に指を這わせて、そのまま唇、顎、首筋、胸元、脇腹……そうして辿り着いた足の付け根の辺りに唇を寄せる。酷い独占欲が、彼の白いそこに跡をつけた。







知りたくなんかなかった








2009.10.29
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准望/男娼ネタ/裏


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