まずは、手の甲に。
ちゅ、と小さな音をたてると、先生は少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「僕、先生のことを尊敬してるんですよ」
「や、…そんな、褒めた所で何も出ません…」
先生の前髪を掻きあげて、額に唇を落とす。
「年が同じくらいだったら、良い友人になれたとも思うんです」
「そう、ですか…?私なんかと仲良くなった所で良いことなんてなさそうですが…」
そうして、頬だ。
柔らかな先生の頬を軽く舐めるようにすると、んぅ、というか細い声が先生から漏れて、僕は少しずつ高揚する。
「先生に優しくしたいんです」
「貴方は十分にやさしいですよ…っん」
唇と唇を重ねれば、先生はゆっくりと瞳を閉じた。くちゅり、濡れた音が響く。
「先生、すきです」
「ぁ…久藤くん…」
薄く目を開こうとする先生を制し、眼鏡を取り上げその瞼に口付けた。
「先生に憧れてる面もたくさんあるんです」
「そんなの買い被りですよ…」
「せんせ、手を出して下さい」
「あ…、はい」
おずおずと差し出された掌にキス。舌を這わせれば、くすぐったいのか先生の声が漏れた。
「でも、もっと求めて欲しい、なんてことも思ってるんです」
「え、……んっ」
手を軽く引っ張れば、細くて白い腕が露になる。そこに唇を落とし吸い付くようにすれば、そこには赤い痕が残った。
「ね、先生……しても良い?」
「あ…ゃ…っ」
「嫌ですか?」
先生から奪った眼鏡をかけ、鎖骨から首筋に吸い付く。喉仏に舌を這わせれば、先生は気持ち良さそうな声をあげた。
そのまま先生のこめかみを指でなぞり、唇を落とす。耳たぶ、耳の軟骨、耳の後ろ。順を追ってキスをして、舐めて、軽く歯を立てれば、先生の強ばった身体から一気に力が抜けた。
「先生、足開いて」
「…やっ…そこっ…耳元で…喋る、のは、反則です…」
「先生は、グリル・パルツァーをご存知ですか」
「え、なんです…っん」
「いいえ…気にしないでください」
にっこりと微笑みかけて、既に快楽に泣き出しそうな先生のこめかみにキスを落とした。
こめかみにキス
尊敬も友情も厚意も愛情も憧憬も懇願も欲望も、全て含ませた口付けを先生に。
(例えそれが狂気の沙汰でも)