※静臨
※裏注意








 身体中を蝕むようなこの熱を、早くなんとかしてほしかった。いきたい、解放されたい。馬鹿の一つ覚えみたいに、それしか考えられない。

「あ、ああ、や、……も、……ふぁ、」
「ほらもっと啼けよ」
「ひっ……! や、……っい、あ、あああっ!」

 ぐりっと後ろに突き刺さったバイブを中を抉るように動かされれば、出したくないのに声が口から漏れる。頭にはぼんやりと靄がかかったような感じで、何かを考えようとしてもまとまりのない意味不明なことばかりだし、仮に何かまとまりそうだとしても、後ろの玩具の動く速さが変わる度にその思考は霧散していった。

「おねが、シズちゃ、……かせっ、て、……」
「聞こえねえなぁ、臨也君よぉ」
「ひっいああっ……! は、っ、も、……むりぃ……! や、あ……っ!」

 玩具を奥深くまで突き刺されて、涙が止まらなかった。淫乱、変態、ドM。そんなふうに罵られて、それでも硬いままの自身が情けない。俺が淫乱で変態でドMなら、この男は鬼畜でドSで、やっぱり変態だ。そう罵ってやりたかったけれど、口から出てくるのは聞きたくもない自分の喘ぎ声で、だけどそれを抑えることは出来なかった。
 シズちゃんは既に俺の中に何度か精を吐き出していて、そのせいで玩具はぐちゅぐちゅと滑りよく動く。ていうかこの男にはもう薬の効果なんて残ってないみたいだった。卑怯だ。化物め。

「も、むり……だってば……ぁっ、あ、」
「何が無理なんだよ」
「っ、きたい、いきたいっ、たすけてよぅ……っ!!」
「イきたいって手前、さっきからずっとイきっぱなしじゃねぇか」
「っいあぁああぁああっ!!」

 不規則に振動する玩具を力強く突き込まれて、俺はまた脳が痺れるような感覚に苛まれる。確かにシズちゃんの言う通り、俺はイってばかりだった。だけどそれは、精を吐き出すことの叶わない、解放感など全くないただの苦痛であった。
 身体中がガクガクと震えて、これ以上ないくらいに玩具を締め付けて、もう、限界。
 すると、シズちゃんが小さく溜め息を吐いた。

「仕方ねえな」
「えっ……、っ、」
「ちょっと待ってろ」

 そう言って、シズちゃんはベッドから離れる。本当は待てないんだけど、ここで下手なことを言ってシズちゃんの気が変わったらそれが一番辛い。ぐずぐずになった思考で、ぼんやりとシズちゃんの背中を見つめる、と。

「……これでいいか」
「ぁっ……やだ、シズちゃ、」
「何だよ、手前が準備したものだろうが」

 シズちゃんがベッドの前に設置したもの、それは、俺がシズちゃんの恥態を録画しようと準備していたビデオカメラだった。

「うそ、うそだろ、やだ、やだやだっ!!」
「うるせえ」
「んんんっ!!」

 俺はぜんぜん薬の効果なんて切れてないっていうのに、再び口内にそれを流し込まれる。あ、やだ、もう、むり。

「仕方ねえから、これ、外してやる」
「っ、ぅぁ、あ、あああっ、やっ、あああああっ!!!」

 俺のソレの根元にはめられてたシリコンリングをシズちゃんの長くて固い指が不器用に外して、その指の動きにも反応しちゃって、俺は漸く、吐き出す。

「あっ、や、とまんな、あああっ、!」

 ビュクビュクと、吐き出される精は止まる気配もない。この様も全部ぜんぶ、あのカメラが見ている。撮られている。そう思うと恥ずかしくてたまらない。

「あぅっ……あ、は、あああっ、やらっあっ!」
「……俺、メシ食ってくる」
「は、!? あ、うそ、っ、……!」
「2時間くらい? まぁその頃にはこっちの電池も切れるだろ」
「ひっ……ゃぅっ!」

 一度後ろのバイブを引き抜かれる。そして、今まで入っていたのとは別の……小型のローターを俺の中に埋め込む。前立腺を直接刺激するような位置に当てられて、俺はまた射精した。するとこのバカは、再び、俺の中に無理矢理バイブを突っ込んできやがった。

「あっ、むりっ……! やだ、やだぁっ……!」
「無理じゃねぇだろ、こんなくわえこんでる癖によ」
「あぅっ……、あ、やぁああっ……!!」

 ローターとバイブと、無理矢理受け入れる羽目になった俺は、悪態を吐けるだけでも上出来かもしれない。振動はランダムに設定されているようだった。でも、もう、むり。あ、やっ、どうしよう。シズちゃんが部屋を出ていく。しね、あの鬼畜変態ドS野郎。しね。

「ひ、……っあ、や、やらぁ……っ!」

 吐き出しても吐き出しても止まらない。なんなのこれ。これも薬のせい? 何て物を準備しちゃったんだ、俺。前立腺を直接刺激するような振動だとか、外したくても外せない手錠だとか、無機質にこちらを見ているカメラだとか。全部自業自得だと言われればそれまでだけど。

「あぅっ……あ、あっ、や、あああっ……!」

 吐き出しても終わらない快楽。もう、おれ、しんじゃう。もうやだ。しね、ばか。はやく、帰ってきてよ、ばか。







Love drug!3








2010.2.22
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静臨/Love drug!続き


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