人が嫌いな臨也の話






 人間が好き、なんて。
 全部、嘘。うそ。ウソっぱちさ。
 人なんて気持ち悪いじゃない。あんな風に群れて、愛想笑い浮かべて、バカみたいだよね。地球環境問題がどうのこうのって今更過ぎるし、花粉症どうのこうのも自業自得だろう? 本当、バカだよねえ。だけどそんなふうに思ったりする自分も、人間。わかってるよ、矛盾だってことくらいね。
 じゃあなんで情報屋なんてやってるのかって、そりゃあ怖いもの見たさっていうか、自分の好奇心を満たすためだよ。気持ち悪いものって、何故だか目にしたくなるだろう? 石の下に気持ち悪いくらいにびっしりと蟲の集団がいるのはわかっているのに、それを避けずわざわざ見ようとするようなものだよ。
 だから……人間なんて気持ち悪いもの、見ようって思えるんだよ。好奇心は最大の武器だ。だから色々なことに足を突っ込むし、引っ掻き回す。愛だとか恋だとか、下らないね。結局は別々の他人で、どうしたって埋まるものなんてないのに、依存して嘘を囁いて、ああ本当バカみたい!
 シズちゃん、ね。嫌いだなぁ。だって人間だもん。好きになる要素は何もないよ。……ああ、でも、あの人間離れした強さは好き。綺麗だよね。純粋にね、美しいと思うよ。ただ、思考がどうにも人間臭い。反吐が出るね。だからシズちゃんがただ化物みたいに……むしろ化物そのものだったなら、俺はシズちゃんを愛していただろうね。人間なんて嫌いだもん。ああでも、やっぱり愛するのは無理だ。気持ち悪いもんね。だって俺は人間だもん。他人と繋がっていないと生きていけない、気持ち悪い生き物の一人。あは、本当に吐き気がする!






*――*――*
自分でも何が書きたいのかわからなくなった。
人間大好きな臨也が実は人間大嫌いだったら。
それでもシズちゃんは嫌い。



(リアタイSSログ)


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