※裏注意









 目が覚めたら何故か俺の部屋にノミ蟲がいた。夜中の3時過ぎ。何故ここにコイツがいる。この時点で俺は怒り狂っても仕方ない状態なのだが、寝起きの脳はまともに働いてはくれないもので、ぼんやりと臨也の姿を眺める。
 こっちで仕事があってさぁ、お邪魔してるよー、いつ来ても狭い部屋だねえ、男の一人暮らしの割りには整理してある方だと思うけど、とぺらぺらこっちが聞いてもいないのに喋り続ける臨也に、働きの鈍い脳がようやく回転し始めたその時。俺は、ある事実に気付いた。

「……、臨也、手前」
「ん? ああ、冷蔵庫入ってたから食べてるよ」

 安っぽい小さなソファに体育座りして、臨也が手にしていたものは。

「それにしてもシズちゃんも味覚がお子様だねぇ、その年でプリンとか、どんな顔して買ってくるわけ?」
「……、臨也くんよぉ……」

 人の物を勝手に食べたらいけませんなんて、小学生のガキでも知っている。それでもこうして食べるってことは、何をされても文句は言えないはずだ。そうだ仕方がないんだ。

 だって、臨也がぜんぶ悪いのだから。 俺は、何一つ悪くない。








* * *







「いや、いやだってば……っ!」
「あ? 人のモノ勝手に食うようなやつの言うことなんて聞くわけねぇだろ」

 そこらへんに出しっぱなしだったタオルで臨也の両腕を縛り、ズボンを下着と共に剥ぎ取る。コートもシャツも着たままなのに下半身だけが露出している状況で、両腕をソファにつかせて尻をこちらに突き出すような体勢も相まってかなり間抜けだ。まだ反応も何も示していない萎えた臨也のモノをつかみ、乱暴に擦り上げる。濡らすものもないその行為に、臨也は痛みのせいか顔をしかめた。

「いっ、いた、痛いっ……やめろ、ばかっ……! ひ、っ!」
「うるせぇ」

 ぱしん、と軽く臨也の尻を平手で打つと、臨也の息が詰まるのがわかった。同時に、ひくんと後ろの穴が痙攣する。コイツとは数えきれないほどセックスしているし、相当なスキモノであることも承知していたが、その反応にはこちらも驚いた。

「尻打たれて感じてるとかどんだけだよ」
「ひっ、うあっ、いた、やめてっ……!」
「やめねえよ、淫乱ドMのイザヤくん」

 パンパンと何度も平手でそこを打ちながら前を弄ると、だらだらと先走りを溢し始める。悪い子を懲らしめるための行為の筈なのに、全く意味がない。尻を叩くタイミングに合わせてぐちゅぐちゅと音を立てる臨也自身の先端を強く刺激すれば、一際高い声を上げた。

「ゆるしてっ、おしりっ、も、叩かないでっ、……! あや、謝るからっ、何でもするからぁっ……!」

 その言葉に、何度も打たれて真っ赤になったそこを優しく撫でる。それすら感じるのか、ひっ、と弱々しく臨也が喘いだ。

「ううっ、シズちゃん……っ」
「……ごめんなさい、だろ?」
「……、っ……」

 躊躇う臨也に対して再び手を振り上げると、慌てて待ってと臨也が叫ぶ。

「ご……、ごめん、なさい、……っ」
「ちゃんと反省してんのかよ」
「ぅあっ、してる……っ、してるからもう打たないでっ……!」

 ぐすぐすと鼻をすする音がする。臨也はどうやら泣いているらしかった。まあ良いだろう、臨也の謝罪なんて滅多に聴けるものではない。俺は立ち上がり、箪笥からローションとかを取り出して再び臨也の背後に回った。

「じゃあとりあえず、」
「え……、うそ、シズ、ちゃん……、んんっ……!?」

 何度も叩いたせいですっかり反応の良くなった尻を撫で、入り口にどろりとしたローションを垂らす。ヒクヒクと痙攣するそこに指を入れぐりぐりと刺激してやれば、慌てたように臨也が首を振った。きっと、俺が取り出した物を見たのだろう。

「じゃあ、代わりにプリン買ってこいよ」
「ん、うそ、嘘だろっ……!?」
「何で嘘つかなきゃいけねえんだよ、バカか手前は」

 だいたい悪いのは臨也だ。何でもすると言ったのは手前だろうがと脅せば、信じられないといった風に目を見開く。
 箪笥から持ち出したのは、細身のバイブだ。以前も臨也に使ったことがあるそれの機能性については、俺よりもコイツの方がよく知っているはずだ。あの時もそういえば買い物をさせようとコンビニに寄らせたなぁ、としみじみと思い出す。

「それ、やだっ……、んああああ゛あっ!」
「ちゃんとプリン買って来いよ」
「んぅっ……、ひう、っ……!」

 しっかりと挿入したバイブの振動を早速ランダムにセットして、ガムテープで入り口を塞ぐ。両腕を縛っていたタオルを外してやり、ズボンだけを履かせた。既に臨也の身体はぶるぶると震えている。

「近くのコンビニまで5分もかからねぇ、行ってこい」
「うっ、くぅ……や、」
「あ、そうだ」

 ついでに煙草も買ってこい、と空き箱を臨也に投げる。しかし臨也は顔を真っ赤にして俯き、動こうとしない。はぁ、とため息を吐き、臨也の手を引いて玄関まで連れていく。

「30分以内で帰ってこい」
「あぅ……、ふ、……んんっ!」
「それから」

 靴を履かせて、臨也を部屋から押し出す。1000円札を握らせ、にっこりと笑ってやった。

「勝手にはずしたりしたら、もっと酷いことするからな」


 ――人の物を勝手に食べるような悪い子には、しっかり躾をしなければならない。
 玄関の扉を閉める前に見た臨也の顔は、既に熱に浮かされていた。










食べ物の恨みは恐ろしい









「はじめてのおつかい(深夜のコンビニ編)」に続く(嘘)


2010.5.4
75000hit企画
静臨/裏/静ちゃんの仕返しと本気で嫌がってる臨也


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