※電車痴漢ネタ
※正臨
※2人は初対面設定
※R18






 ガタン、がたん。
 定期的に揺れる走行音。朝の通勤通学ラッシュで、電車内は乗車率100%を超える大混雑ぶりだった。わりと扉に近い壁に押しやられるように立っている状態で、これ以上押されて圧迫骨折とかしたら何処に訴えればいいんだろう、なんてことを考える。
 こちら側の扉は自分が降りる駅まで開かない。それがわかっていたからいつも通り扉付近までやってきたのだった。鞄を胸の前でしっかりと抱き、窓から外の様子を眺める。がたん、ガタタン、がたん。定期的に足元から伝わってくる振動に目を細めた。いつもの朝。あとはこのまま20分程揺られていればいい。


 最初は、ただの気のせいだと思っていた。こんなに混んでるんだから体が多少密着するのは避けられないし、なにより自分は男だ。だから、自分の臀部を撫で回すような手も、気のせいだと思っていたのだ。
 それがどうやら気のせいじゃないとわかったのは、後ろを撫でていた手が俺自身に伸びてきたからだ。ゆっくりと、内腿をズボンの上から優しくなぞりあげ、そのまま俺のモノの形を確かめるように触る。

「あは、おおきい……」

 そこで初めて、後ろから人のモノを撫で回す相手の声を聞いた。耳元で囁きかけるように。どう聞いても男の声だ。少し熱っぽい、色気を含んだ艶のある声。耳に直接囁きかけられて、すっかりその色気にあてられていた。ズボンの上からまさぐる手の動きは徐々に強くなっていく。電車内でこんなことをしているなんて、と思うのに、興奮を抑えられない。荒くなる息を整えながら窓ガラスを見れば、ガラスに映り込む後方の彼の顔と視線が合う。年は20代前半といったところだろう、青年はひどく整った顔立ちで、いやらしくも笑っていた。

「ふふ、起ってきたね」
「っ……!」
「このままイかせてあげようか?」

 口の端をにぃ、と吊り上げ、青年は笑う。ぎゅ、と自身を握り込む手に強く力が込められて、思わず声をあげてしまいそうになるのを必死で耐えた。

「それとも、」

 次は○○駅、○○駅、出口は右側です。車内アナウンスが、もうすぐ目的の駅に到着することを告げる。ごくり、と喉が鳴るのがわかった。興奮、している。

「一緒に降りて、その先のことまでしちゃおうか?」

 ぷしゅぅ、と音がして、扉が開く。俺が頷くのと、彼が俺の手を引いて電車を降りるのは、ほぼ同時だった。







「あは、元気だね!」

 駅の構内のトイレの中でも、古い方のこちらは最近できたばかりの新しいトイレより人の入りがほとんどない。そんなぼろっちい男子トイレの個室。洋式の冷たい便座に座らされ、あっという間にズボンとパンツを脱がされた。先ほどまでの刺激ですっかり起ち上がっている自身に彼は目を細め、直接指を這わせる。

「ふふ、高校生のおちんちんだぁ……」
「っ……、!」
「自分でオナニーしたりしてるの?」

 俺のモノに顔を寄せ、ふぅと息を吹き掛けられるだけで息がつまった。問いかけに小さく頭を縦に振ると、彼は至極楽しそうに笑う。

「キミ、童貞でしょ?」
「……!!」
「馬鹿にしてる訳じゃないよ、ただ、俺」

 亀頭部分にちゅっ、と彼の唇が触れる。起ち上がった陰茎を両手で包み込み、彼は微笑んだ。

「童貞食べるの、趣味なんだ」

 言うが早いか、自身を生暖かい感触が包み込む。彼の口内にくわえられてるのだと気付くのに、時間がかかった。柔らかくて熱い口内の肉が自身の先端を扱き、舌が括れの部分を執拗に攻め立てる。口内に収まっていない陰茎部分を彼の綺麗な手が扱きあげ、時折陰嚢を揉みこまれてしまえば我慢なんて効くはずもない。尿道口を舌で刺激され、強く吸われたらひとたまりもなかった。彼の頭を掴み、その口内に自身を突きいれるように腰を振る。いきなりの行動に彼もびっくりしたのか一瞬目を見開くが、直ぐにまたあのいやらしい笑みに戻った。その表情に、理性なんて粉々に砕け散る。

「んっ、ふぅ……ぅ、っ!」
「っ、は……!」

 気が付けば俺は猿みたいに腰を振り、彼の口内に欲望を吐き出していた。しまった、と思い慌てて口内から自身を引き抜くと、彼は目元を生理的な涙でうっすら濡らしながら、口内に指を突っ込んだ。

「あは、たくさん出したね」

 引き抜いた指には、俺の吐き出した白濁が絡み付いている。上目遣いにこちらを見る彼の赤茶けた瞳が誘惑してきた。たまらない。
 と、半ば放心状態で彼を見つめていると、なにやら彼は自分のズボンのベルトを外し、膝辺りまで脱いでいるところだった。ボクサータイプのパンツの前は確かに膨らんでいる。相手が男なのはわかっていたが、ここまで嫌悪感を感じないとは自分でも意外だった。

「そうだ、キミ、名前は?」
「え、あ……、正、臣……」
「そう、正臣くん……俺のことはイザヤって呼んで……んっ、」

 先ほどまで俺の足元で踞っていた彼、イザヤさんは、今度は俺の腰を跨ぐようにしてしている。洋式トイレのタンクに手をつき、つまり彼の顔が目の前にあるわけで。

「は、んぅ……、んっ……!」
「へ、?」
「ん、ぁ、はっ……おれも、興奮しちゃったぁ……」

 ちゅぽん、と何かが引き抜かれるような音に目を点にしていると、それはイザヤさんの後孔からだった。鶉の卵くらいのサイズの、ピンク色の塊……童貞の俺でも、それくらいはわかる。いわゆるローターってやつだ。ということはこの人は、電車内から今まで、ずっとこれを中に入れたままだったということになる。

「ね、正臣くん……そろそろ正臣くんのおちんちん、ちょうだい?」
「……!」
「ふふ、……いただきまぁす」

 自身の先端が、熱い粘膜に触れる。ゆっくり、ゆっくりとイザヤさんの身体が落ちてきて、締め付ける内壁に目眩がしそうだ。いわゆる対面座位の体勢で、身体を沈めきったイザヤさんは息を荒くさせながらも妖艶に笑う。

「奥まで、……入ったね、んっ」
「イ、ザヤさん……、あんま、しゃべんない、で……っ!」
「んー? 、ああ……ふふっ、そう、か……あ、ははっ……んゃっ!」
「っ!!」

 彼が楽しそうに笑えば笑うほど、喋れば喋るほど、腹筋に力が入るのか彼の内壁は痛いくらいにぎゅうと俺を締め付けてくる。それに抗議しようとしたのだが、その意図に気付いたのかイザヤさんは意地悪く笑った。

「あは、正臣くん、かーわいぃ……っ、ふ、ぅ……ん、ぁ……っ」
「く、そ……っ!」
「ん? ふ、ぇ……ひっ、や、や、あ!?」

 その余裕ぶった笑みをどうにか崩してみたくて、下から突き上げるとどうやらそれがイザヤさんのイイところに当たったらしかった。先ほどまでとは異なる、焦りの混じった喘ぎ声が、俺をより興奮させる要因となる。この人を焦らせているのだと思うと、それが酷く愉しかった。先ほどの箇所を執拗に突き上げると、イザヤさんは目を見開き、いやいやと言うように頭を横に振る。たまらない。可愛い。

「ん、ん、や、やぁ……、正臣、くぅん……ひ、っ……んあ、あ、ああっ!」
「あは、は……イザヤ、さん……かわいい……」
「あ、やだ、やっ、正臣くん、正臣くん……っ!」

 ぐちゅぐちゅと卑猥な音がトイレの個室に響き渡る。顔を真っ赤にさせ、俺の上で腰を振りながら、やだやだと喘ぐイザヤさんは酷く幼く、可愛らしく見えた。
 ふと、イタズラ心が芽生えた俺は、イザヤさんの持っていたピンク色のローターを奪うと、それを彼の亀頭にあてがい、そのまま彼の陰茎を握り込んだ。

「ふ、ぇ……、や、やだ、正臣く、まって……ひゃ、あ、あああああ゛ーーっ!!?」

 彼の制止の声も聞かずにローターのスイッチを入れると、ブルブルと手の中に振動が伝わる。イザヤさんはと言えば、もうそれどころじゃないらしい。前も後ろも同時に攻められて、壊れたみたいに喘ぐ。そしてそれに加えて内壁をぎゅうぎゅうに締め付けてくるものだから、もう我慢の限界だった。

「や、あ、やだっ、ん、ひっ、……!」
「イザヤさん、っも、おれ、出そうっ……!」
「だして、あ、あああ、なかにだしてぇっ……!!!」
「ッ……!!」

 その言葉のままに、我慢できない欲望をイザヤさんの中に吐き出す。手の中にどろりとした感触が伝わり、見ればイザヤさんも達していた。荒い息のまま、肩を上下させ、イザヤさんは笑いかける。

「、ふふ、正臣くんの童貞、ごちそうさま」
「っ……!」
「ねぇ、どうする?」

 人の上に乗っかったまま、というかまだ中に俺のモノを入れたまま、イザヤさんのさんは問いかける。

「まだ今なら、学校、間に合うんじゃない?」
「あ……」

 携帯で時間を見ると、今ここを出ればギリギリ1限目に間に合いそうな時間だ。この人、そんなことまで考えてたのか、なんて思うが。

「それとも、今日はこのまま、サボっちゃう?」
「っ……!」

 ぎゅう、と内壁を締め付けながら、妖艶な笑み。わかっててやってるだろ、と内心で舌打ちをして、イザヤさんに口付けた。


 今日は、どうやら学校には行けそうにない。






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