※静臨
※裏注意






 最近わかったことがある。
 一つ、それは、自分がかなりのサディストであるということ。
 暴力は嫌いだし、人をむやみやたらと傷付けることだってあまり良しとしない俺だが、あること、というかある人間に対してはかなりサディスティックになってしまうのだ。まあこの相手というのがただのクソ蟲であるから、別に問題などありはしない。むしろヤツの息の根を止めたっておかしくもない筈なのにそれをしていない俺を褒めてほしいくらいだ。

 そしてわかったことがもう一つ。
 クソ蟲――折原臨也――は、自分ではまったく自覚もないだろうが……かなりのマゾヒストである、ということだ。








「さてシズちゃん、この腕の紐、外してもらえないかな」
「嫌だ」

 いったいどういった経緯でそうなったのかはもう覚えてもいないが、俺たちはセックスをするような間柄だった。だが別に恋人だとかそういう甘ったるい関係ではない。俺はこいつを苛めて苛めて泣かせることで普段の鬱憤を晴らしているし、こいつはこいつで思うところがあってこんなことしているんだろう。それは別に俺の預かり知らぬことで、つまりどうでもいいことだ。
 そういう訳で、今日も今日とて俺の部屋にいる臨也。“こういうこと”をするとわかっているから割り切れるが、そうじゃなかったら今すぐにでもソファをこいつに投げつけている。

「なんなの、いきなり縛ったりさ。痕残ると面倒なんだよね。ただでさえシズちゃんは馬鹿力なんだからさ、そんなので縛られるこっちの身にも、んぅっ」

 ぺらぺらとよく回る煩い口を、自分の唇を重ねることで塞いでやる。吐息と共に合間合間から洩れる声にゾクゾクした。

「っ、は……、ほんと、唐突なんだから……」
「その割には嬉しそうな面してんじゃねえか」
「……っ、はは、なに言ってんの? 気のせいだよ、気のせい。シズちゃんったら頭だけじゃなくて目も悪いんだね」

 こいつは簡単には認めない。プライドの高さがそうさせているのだろう。だから自分がマゾだ、なんて認めるような日はきっとやってこない。まあ、そんなヤツを捩じ伏せる方が楽しいから問題はないのだが。

「で、何で今日は縛ったわけ?」

 不満げな声でそう言うヤツの顔は何処と無く楽しそうで。こいつやっぱりマゾだな、と再確認する。

「大きいのと小さいの、どっちかいいか、選ばせてやる」
「は? 何の話?」
「だから、大きいのと小さいの、どっちかいいか聞いてんだよ」

 早く答えろよ、と服の上から膝でヤツの自身をぐりと押し上げると、息を詰まらせる。俺の質問の意図を掴めないままに、臨也は少し考え……どっちも嫌、なんて答えやがった。ああ、そんな風に言われたらどっちも使いたくなるってわかっててこいつはそんなこと言うんだろうか。無自覚って恐いと思う。俺は楽しいからまったく問題はないが。

「そうか、両方だな」
「え、人の話聞いてた? ていうか何の話を……」

 立ち上がり、クローゼットからある物を取り出すと、臨也が固まった。

「あ、あはは、シズちゃんそんなの、どうしたの」
「手前に使おうと思って買った」
「うわ、変態。信じられない。変態」
「の割には手前も嬉しそうじゃねえの」
「そんなわけないだろ、何言ってんの、ばかじゃないの……ひっ!」

 するりと服の裾から手を入れて臨也の乳首を強く捻る。両方の乳首をそんな風に痛め付けると、うっすらと涙が浮かんだ瞳でこちらを睨んでくる。弄った乳首はツンと立ち上がり、服に擦れるだけでも感じやすいこいつは快感として受け取るだろうなと思った。
 これからの行動を考えると、服を脱がせた方が都合がいい。一度臨也の両腕を拘束する紐を外して、黒いシャツを脱がせた。その時にも若干声が漏れていたので、俺の想像通り乳首が敏感になっているのだと知る。再び両腕を拘束し直して、仰向けになった臨也を見下ろす。乳首が赤くて、白い肌によく映えていた。

「は、あ……シズちゃんの変態」
「小さいやつから使うぞ」
「……変態変態変態、ばか」

 立ち上がった両の乳首に、小さい物……ローターを押し当て、テーピングで固定する。それだけでもこいつは小さく喘ぐから、それが楽しくて仕方がない。

「おい臨也」
「っ、……なに、」
「勃ってんぞ」
「……!」
「どっちが変態だよ」

 ズボンを下着と一緒に下ろし、主張し始めた臨也のソレを晒すと、カァ、と頬を赤くさせて臨也がこちらを睨んだ。ああ、ゾクゾクする。
 ローターをもう一つ取り出し、勃ち上がったソレの根元のあたりにコードを巻き付けて固定。テーピングにしなかったのは、いくら臨也の体毛が薄いと言っても、流石に剥がす時に可哀想だと思ったからだ。こういう時、俺は優しいと思う。

「臨也」
「あ、……っ、なに」
「今度、下の毛剃ってやろうか」
「っ……! 変態変態変態! ばかじゃないの!?」

 喚く臨也に再び口付け、その後ローションを手のひらに垂らして伸ばす。白くて細い足を開き間に自分の体を割り込ませ、ぬるぬるになった指を這わせた。んっ、と小さく喘ぐ臨也の入口を、ゆるゆるとなぞる。そのまま中に指を一本差し入れれば、きゅうと内壁が締め付けてきた。

「ん、んぅ、シズちゃ、」
「何だよ」
「なにって……あっ、何でもない……っ!」
「ああ、ローター動かして欲しかったのか」
「ちが、ちがうったら! や、あ、っ!」

 そんなに苛められたかったのか、と思いつつ、胸の方に付けたローターの電源を入れてやる。振動は一番弱いものだったが、胸でも感じるこいつにとっては関係ないようだった。中に入れた指をもう一本増やすが、更に締め付けてくるから動かし辛い。

「ふっ、あ……やぁ……」
「嫌な割には下、凄いけどな」
「言うな、よ……っひ、指、中、ひろげんなっ……あ、あ!」

 更に増えた指を中でかき混ぜるように動かすとぐちゃぐちゃとローションが音を立てて、臨也は顔を真っ赤にして涙で頬を濡らして、それでも睨み付ける瞳は変わらないものだから、俺は更に煽られる。中がだいぶ解れたのを確認してから指を引き抜き、すぐ横に置いておいた物を手に取りたっぷりとローションを垂らして濡らす。そうして臨也の入口にそれの先端をあてがえば、ひくりと入口が動いて卑猥だった。

「大きい方、射れるぞ」
「ばか、ばかぁっ……へんたいっ……やっ、んああっ!!」

 大きい物……バイブをゆっくりと押し込むと、臨也は頭を振った。仕方がないので胸のローターの振動を上げると、さらにぼろぼろと泣き始める。

「ひっ、やぁ……あ、ああ、あ、シズちゃ、……あ、」
「何だよ、ああ、前も動かさなきゃ満足出来ねえのか」
「ちが、あっ、ひっ……!」

 臨也の言うがままに前のローターも電源を入れてやるなんて、俺は何て優しいんだろうか。普段だったらまず無視しているところだな。バイブの電源だけは入れず、ローターの振動を全部最大まで引き上げると、臨也は目を見開き、大声で喘ぐ。

「や、だっ、あああああっ! は、あっ……!」
「結局手前も変態だよな」
「ふっ、ちが、ぁあっ……!」

 前と乳首に当てられたローターの振動に耐えきれず、臨也は白濁を撒き散らして達してしまった。だが振動は止まらない。達したばかりの臨也の自身には酷だろうが、それを止める気はさらさらない。

「あぅっ、あ、たすけ、やだ、むりっ……シズちゃ、シズちゃ、んっ!!」
「無理じゃねぇだろ」

 臨也の顔の前で、バイブのスイッチを見せつけるようにする。今これの電源を入れたら、きっと酷いことになるだろう。そんなこと、多分一番、臨也本人がわかってる。

「や、やだぁっ……むり、……っひ……!」


 でも。


「あ、やぁっ……シズちゃ、んっ……!」


 必死に頭を振る臨也の、喘ぎながらも否定を重ねる臨也の、その綺麗な目が。俺がスイッチを入れる直前に、


「あっ……あああああああっ!!」


 嬉しそうな色をしていたのを、俺は見逃さなかった。








つまるところ、相性がいいのです






2010.2.21
75000hit企画
静臨/ドSシズちゃんが無自覚Mの臨也に玩具を使う裏


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