とりあえず一番急ぐ仕事だけを終わらせることにする。その他にも細々とした仕事はいくつか残っているが、先の仕事が終わってからシズちゃんの様子を見て決めよう。








 そもそも、犬、というか猫が裏市場に出回った時の目的というのは性行為目的の「玩具」であった。そのため猫は見目麗しく、快楽に従順である。シズちゃんは犬だけれど、例に漏れず綺麗な顔をしていた。
 快楽に従順……というのはまああながち間違いでもない。時折シズちゃんには、所謂発情期のような時期がくる。その時期の訪れは本当に不規則で、全く掴みようがない。発情期のシズちゃんは、外見は全く変わらないのに突然襲いかかってきたりする。研究所時代に「そういったこと」を仕込まれていたのかもしれないけれど、テクニックとかそういったものが半端ではないのだ。普段は大人しいくせに、俺をねちねちと攻め立てては快楽に引き摺り落とす。しかも絶倫。きっと研究所のやつらはシズちゃんをセックスレスで欲求不満が溜まりまくったオバサンとかに売り飛ばすつもりでいたんだろうな、と思い至ったのはシズちゃんを引き取ってから2週間目くらいの頃だったろうか。


 どうしてそんなことを考えているのかといえば、一番急ぎの仕事を終わらせてからシズちゃんの様子を見にリビングに向かい、俺が「仕事終わったけど」と言うが早いか、いきなりソファに引き寄せられ、乱暴に唇を重ねられたからである。ああ、ずっと我慢させてたもんなぁ、発情期なのには気付いていなかったけれど。はあはあと息を荒げたシズちゃんは、舌でれろりと俺の首筋を舐める。

「んっ……、シズちゃん、待って」
「……待てねえ、仕事、終わったんだろ」
「それは、そうだけど……んっ、ここでするの、?」
「悪い、我慢出来ねえ」
「っあっ……!」

 俺の身体を自分の下に置いて上から覆い被さり、シャツをたくしあげて露になった胸元を舐めあげた。たったそれだけでも声があがってしまうのだから俺も大概である。真っ昼間の、明るいリビングで何をやっているんだろうと思ってしまう。

「はっ、……あ、シズちゃ、胸ばっか……やだぁ……」
「こんなに真っ赤にして立ってんのにか?」
「い、わな、でよ……んんっ、んっ!」

 右の乳首をぎりっと噛まれて、ヒリヒリする痛みと共に快楽が襲う。痛くされて感じる趣味はなかったはずなのに、シズちゃんの攻めの前では全てが快楽に繋がってしまうから困ったものだ。発情期のシズちゃんは鬼畜というかS寄りというか、言葉で攻めたりしてくるから質が悪い。そしてそれに感じてしまう自分も。

「あう……は、ぁ、やだ……も、乳首、弄んないでっ……あ、!」
「どうして」

 必死になって懇願しても、口角を上げてそう言うだけで。恥ずかしくて口にするのも嫌だったのだが、答えろよ、と言われて敏感になった乳首をぢゅっと強く吸い上げられれば、そうも言っていられなかった。

「……っ、きもち、いいからぁっ……ヘンに、なる……っ!!」
「良いじゃねえか、そのまま乳首だけでイけば」
「やっ、吸わな、でぇ……っひっああああっ!!」

 そうして、長い間弄られていた乳首は簡単な刺激にさえ反応してしまい。左胸をぎり、と強く摘まんだまま引っ張られて、右は強く吸い上げられ、その両方の刺激に耐えきれず、つい達してしまった。

「あっ、は……ぁ、シズちゃ、ん……」
「ああ、俺のご主人サマは胸だけでイっちまう淫乱だったのか」
「っ……ばか、ぁ……!」

 何が我慢出来ない、だ。ねちねちと前戯する余裕さえあるくせに。ご主人サマ、という響きも、胸だけでイったという事実も恥ずかしくて仕方がなくて、ぼろぼろと涙が零れた。シズちゃんはその涙をべろりと舌で舐めあげ、それがくすぐったくて身を捩った。
 そうしてシズちゃんは、俺が少し落ち着いたのを確認すると、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見た。




「……次は何処を触って欲しいんだ? なぁ、ご主人サマ……?」




 ああ本当、この犬は意地が悪い。





【シズわん!:そのペット、狂犬につき END】





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