俺は目の前の尻尾をぎゅっと掴んだ。

「っひあああっ……!」
「……?」
「やっ、尻尾……あ、ああっ!」

 それまで余裕綽々といった感じで俺のモノを舐めていた臨也が、いきなりそれまでとは違う鳴き声をあげたのである。びくびくと身体中を震わせて、腰を高く上げて……なぜだ、と疑問に思いながらも尻尾に触れる手を動かし続けていれば、いやでも理由を察した。そういえば、猫は快楽に弱く、とりわけ耳と尻尾は性感体であるのだと風の噂で聞いたことがある。先ほどまで主導権を握っていた臨也だったが、今では身体に力が入らないくらいにふにゃふにゃになっていた。

「やうぅ……しっぽ……さわら、ない、でぇ……っ! ひっ、ああっああああ゛あっ!!」
「へぇ……、手前、こんなので感じるんだな」
「やっ、やらぁ……や、ああ、あっあっあああっ!」

 尻尾の根元をぎゅっと強く掴み、擦りあげるようにすると面白いくらいに声があがる。先ほどまでの余裕な表情が辛そうに歪み、俺は自分の中のサディスティックな部分を刺激されたように感じた。

「手前……尻尾だけでもうガチガチじゃねえか」
「や、言わな、でぇ……っんんあっ! や、舐め、るの、やだぁ……っひうぅ……っあああああっ!!」

 黒い尻尾の先端を口内に迎え入れ、くちゅくちゅとわざと音を立てる。軽く歯を立てれば、それだけで臨也は達してしまった。

「あっ、は……あ、やだ、も、尻尾、むりぃ……っ……」
「尻尾だけでイくとはなぁ……とんだ淫乱だな」
「う……ふぅ、あ、……は……」

 吐き出した精液は俺が来ているシャツをすっかり汚していた。再び尻尾を弄って鳴かせてやろうと考えていると、俺はあることに気付いてついつい口角が上がる。

「手前……これはどういうことだ?」
「ふぇ……っ、ふあっ……ぁあっ!」
「おいおい……猫ってやつは皆こんな淫乱なのかよ」

 尻尾の生えている部分より少し下の……つまり肛門がヒクヒクと卑猥な動きをしていたのだ。面白くて何の気なしに指を入れてみると、抵抗もなくぐぷりと飲み込んでいく。挿し入れた指を中の肉がぎゅうぎゅうに締め付ける感触に、ここに自身を挿入したならば酷く気持ちがいいのだろうと思った。

「あっ、あああっ、指……そこ、ぐりぐりしてぇ……! もっとぉ……入れてよ……っ!」

 臨也は俺の指を自分のイイ所に押しつけるように腰を揺らめかせ、その度に黒い尻尾がゆらりと揺れた。そして、その様を見て好奇心に駆られてしまう。

「そんなに入れて欲しいなら入れてやるよ」
「あうっ……しず、シズちゃ……あ、うそ、ゃ、やらぁっ……!?」

 ぐぷ、と音を立てて、臨也のそこに……黒い尻尾が飲み込まれていく。俺は先端を含ませただけだったのだが、誘うような肉壁の動きのままに少しまた少しと奥まで尻尾が刺さっていく。
 軽く触っただけであんな過剰な反応を示していたのに、ぎゅうぎゅうに締め付けられてはひとたまりもないだろう。案の定臨也は身体中をびくびくと痙攣させ、再び精を吐き出した。

「あう……っ、あ、やらぁ、……たす、たすけてぇ……!」

 締め付けようという意志がなくとも、勝手に締め付けてしまう。それに感じてしまっては、また締め付ける。そしてそれに身体を震わせる。悪循環だ。臨也は俺の上に乗ったまま、イきっぱなしになったように声を上げ、がくがくと身体を痙攣させていた。だが、じっとその様を見ていると違和感に気付く。

「ああっ……ふぁ、あ、あんっ……ひ、はっ……っ!」

 腰が揺れている。目が、こちらを見ている目が、物足りない、と。もっと欲しいのだと訴えかけていた。そんな風に思ったのは俺の勘でしかなかったが、あながち間違いでもないらしい。

「あう……、も、尻尾やだぁ……いれ、入れてよぉ……っ!」

 頭を振りながら喚く様はさながら小さな子供のようだったが、ねだるその内容は子供からは程遠い。その様子が本当に面白くて仕方がなくて、ついつい虐めたくなってしまう。

「何を入れて欲しいのか、ちゃんと言えよ」
「はぅっ……は、あ……ひ、んん、やだぁ……はずかし、」
「じゃあずっとこのままでいいんだな」
「っひ、ゃっあああああっ! 、うご、動かさないでぇええっ……ぁああああっ!」

 後ろに挿入されたままの尻尾に手を伸ばして中を抉るように動かしてやれば、臨也の目が見開かれ、悲鳴のような嬌声が上がった。吐き出された精はすっかり薄くなってしまっている。

「ほら、ちゃんと言ってみろよ」
「あ、う……っ、や、ぁ……っ」
「また尻尾触られたいなら構わねえけどよ、」
「ひっ……、あ、ぅ……し、ずちゃ、の……」
「あ? 聞こえねえなぁ……」

 臨也はその真っ赤な目からぼろぼろと涙を溢している。瞳の奥が、物欲しげに揺れた。



「あっ……、あ、しずちゃ、シズちゃ、の、おっきぃの、が、欲しいっ……!」
「……まぁ、勘弁してやるよ」


 荒い息が室内に響く。俺は何故か目の前の猫に対して確かな征服欲を感じていて、にやける口元を隠すことすら忘れていた。







【静雄ルート2:主導権は俺のもの END】




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