俺は、口に押し当てられた臨也自身に舌を這わせた。

「んっ……ふぁ、は……あは、ようやく乗り気になってくれた?」
「……うる、せぇ……」
「じゃあ先にイかせた方の勝ちね?」
「は……、っ!?」

 言うが早いか、臨也は再び喉の奥の方まで俺のモノをくわえ込むと喉を鳴らし始めた。頭を上下させて、ざらりとした舌の感触に耐えられない。負けじと臨也自身に手を伸ばして擦るが、なかなか勝手が掴めずにたどたどしい手つきになってしまう。

「ん、ぷは、は、……シズちゃん、へたくそ」
「っ、わるかったな……」
「ううんー、愉しいからいいよ? シズちゃん可愛いし」
「っく……!」

 それにしても臨也はこういうことに慣れているからかテクニックが半端じゃない。テクニックだけでなく、動作の一つ一つが妖艶で、男の誘い方を知っているようだった。ざらりとした舌でしつこく弄られ、それまでの刺激で既に昂っていた俺は先端を軽く甘噛みされただけで呆気なく達してしまう。吐き出した精液は、半分ほどは臨也が飲み込んだ。

「ん、ん、……ふぅ……シズちゃんの負けだね?」
「、クソっ、……」

 臨也はくるりと方向を変えると、わざわざ見せつけるようにしながら顔面の精液を指で弄りだした。

「もっと……シズちゃんのせーえきいっぱい……欲しいなぁ……?」
「っ……!」
「シズちゃんだって筆下ろししたいよねえ?」

 ちょっと待ってね、と臨也は顔についた精液を掬いとり……自らの尻の穴に持っていった。男同士なら確かにそこしかない、が……。

「ん……、ん、……ふ、ぁ……ひゃ、あ、あっ!」

 鼻から抜けるような声を出しながら、臨也は後ろをぐちゅぐちゅと指で慣らしていく。その指をくわえ込む様があまりにも卑猥で、思わず目を背けようとするが「ちゃんと見ててよぉ」と熱っぽく言われてしまえばそれも叶わなかった。

「ん、……は、こんな感じ、かな……」
「そ、そんな簡単に入るもんなのか……?」
「ああ、俺、ちゃんとシャワー浴びる時に軽く慣らしてきたもん。そうじゃなくてもこれまでいっぱいシてきてるしね、俺の、すごいよ?」

 臨也の言葉に開いた口が塞がらない。こいつ、最初からそういうつもりだったのか……。あの時同情した俺が馬鹿みたいじゃないか。

「まあシズちゃんはそこで転がっててよ……天国に連れてってあげるから……、んぅ、ふ……は、……っあ、っ!」
「くっ……」

 俺の上に跨がり、臨也がゆっくりと腰を下ろしていく。自身を包み込む肉の感触が想像以上に気持ちがいい。ざわざわと誘われるように蠢く肉壁に絡めとられ、思わず達してしまった。

「うそ、シズちゃん……」
「っ……はっ、は、ぁ……」
「ふ、ははっ、あは、シズちゃんったらそんなに気持ちよかったの? まだ入れただけだよ?」
「くっ、ぅぁっ……!」

 心底愉しそうに口元を歪め、臨也は中をぎゅうっと締め上げた。強い締め付けのまま上下に腰を揺らされ、簡単に熱が集まる。中に吐き出したせいでぐちゃぐちゃになったそこからは卑猥な水温が響いた。

「あは、シズちゃんのおっきくてかたくて……きもちぃよぉ……」
「っ……、はっ、ぅあっ……!」
「ね、ぐちゅぐちゅって、してぇ……! なか、突き上げてぇ……ぁあああっ!」

 臨也の口から漏れる卑猥な言葉にも煽られ、歯を食いしばってイきそうになるのを堪えながら臨也を突き上げる。臨也の腰がびくびくと震え、黒い尻尾がぴんと伸びた。

「あぅ……あ、そこ、きもちいぃ……っ! あっ、ああっやっ、イくぅ……っ!!」
「っ……!!」
「あっああああっあ゛っ……!!」

 それまでとは比べ物にならないくらいにぎゅうぎゅうに締め付けられ、俺は再び中に吐き出した。臨也はというと、白濁を俺の腹に撒き散らし、くたりと俺の胸に倒れ込んできている。黒い耳がへたれていて、顔が真っ赤になっている。……可愛いとか思っていない、断じて思っていないぞ。

「……は、……シズちゃん……」
「ぅ……、い、ざや……」

 上目遣いでこちらをじっと見つめる臨也に、視線を逸らすことも叶わず見つめ返す。やっぱり綺麗な顔をしていて、どきりとした。

「……童貞卒業おめでとう!」
「…………!」
「よかったねぇ卒業できて! 魔法使いにならずにすんだよ?」
「な、な……」
「という訳で、」

 臨也の唇が再び弧を描く。くそ、どさくさに紛れて中締め付けんな……っ!




「もう一回シよっか?」







 ……猫の性欲は半端じゃないのだと、俺は学んだのである。




【静雄ルート1:平和島静雄の憂鬱 END】





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