※ボカロ家族
※カイレン?
「あー」
「ちょっと腫れてるかなぁ……」
「ん、レンどうかしたの?」
「あ、カイトにぃ」
ちょっとレンが風邪ひいてるみたい、とリンは言う。確かにレンの顔は若干赤いし目も潤んでいて……いやいや何を考えている俺しっかりしろ!
「だーかーらー、俺は平気だって!」
「そんなこと言って、熱が上がってデータ飛んだらどうするの!」
いいから寝ときなさい!とリン。枕を勢い良く投げつけられ、レンはベッドに沈み込んだ。
***
「で、レンは寝てる訳ね」
「そう。レンったらいつもいつも手がかかるんだから!」
私がしっかりしなきゃね!とリンは意気込んでいる。めーちゃんが頬杖をつきながらお煎餅をぱりんと口で割った。ルカも暢気にお茶を啜っている。俺もアイスを食べようかと席を立とうとしたが、今日の分はもう食べたでしょうと睨まれた。
「違うよ!レンに持って行くだけだよ!」
「ならいいけど」
適当に言ってみたら案外あっさり引き下がった。レン、ありがとう。ちゃんとレンにも食べさせてあげるからね。
冷凍庫からアイスバーを取り出し(もちろん2つだ)、リビングを出た所でちょうどミクと行き違った。またアイス?と冷めた目で見られたような気がするが、レンにだよ、と言い訳すると興味無さげにへぇと話を切られた。……最近なんだかミクが反抗期で兄さんはさみしいです。
***
「れーんー」
「んぁ」
がちゃりとドアを開いてレンの部屋へ入り声をかけると、ぼんやりとした声が返ってきた。
「風邪っぴきレンくんにアイスを進呈しようと思って」
「あー、ありあとー……」
熱がけっこうあるみたいで、滑舌も若干悪い。チョコとミルク、どっちがいい?と尋ねれば、みるくがいぃ、と言うのでその通りアイスバーを渡してやる。袋のままアイスを頬に当て、冷たくてきもちいー、とレンはふにゃりと笑った。
「ん、袋あけてくんねえ?」
「ああいいよ」
ベッドに腰かけて再びレンの手からアイスを取り、袋を開けてからアイスを取り出す。そのまま棒を手に取ってレンの前に差し出してやると、普段からじゃ想像も出来ないくらいに素直に笑って……そのままアイスに口を付けた。
「んにゃ、あ……おいし……」
「そ、そう……」
ペロペロとアイスバーを舌先で舐めるレン。だから頬を染めて潤んだ目でこっちを見ないでくれ!無理矢理このアイスバーをその小さい口に突っ込みたくなるから!
「ん、融けてきた、あ」
しかもアイスはミルク味で、それをペロペロと真っ赤な舌で舐められたら兄さんの兄さんは我慢できません……!
がちゃり、ドアが開く音。
「レン殿が風邪をひいたらしいと聞いてお見舞いにきたでござるよ〜」
「レンくんだいじょーぶ?」
「……」
「……」
「……」
がくぽがグミの顔をさっと手で覆った。どうしたのお兄ちゃん、と問うグミに、見ちゃだめでござる〜なんて言って。
「とりあえずみんなの所に行くでござるよー」
「あ、うん、お兄ちゃん、」
「くれぐれも今見たことは忘れるでござる」
「はぁーい」
くるりと二人は部屋を後にする。去り際にがくぽが見せた、あの哀れみの表情が……ぐさりと俺の胸を抉った。
その後数日間、めーちゃんとミクが「ショタコン死ね」と言いたげにこちらを見ていた……兄さんは、挫けそうです。
メルティング・アイスクリーム
*――*――*
正直やりすぎたと後悔している