竜崎? とベッドに潜り込んだ状態で彼がいきなり問うから、なんですかと返せば一言、あぁ良かった、なんて返された。前後関係が掴めないので、何が、と尋ねる(きっと答えは聞き出せない)
 夢を見たんだよ、と彼は呟く(彼の口から答えが漏れたことに少なからず驚きを感じるがそれは表には出さずに飲み込んだ)

 どんな夢ですか
 誰もいない街角に立つ夢だよ
 よくわかりません
 誰もいないんだ、そこで
 そこで?
 僕は竜崎を探してるんだよ
 はぁ、
 だから目が覚めて竜崎がここにいたから安心した
 これが有る限り貴方が一人になることはないんですけどね
 手錠はついたままだったよ、鎖がとても長くて先も見えなかった
 じゃあその先に私がいたんじゃないんですか
 わからない、引っ張っても引っ張ってもまだまだ続いていたから
 どれだけ長かったんでしょうね
 さぁ、でも、引っ張っても軽かった


 とにかく竜崎がいて良かったよ、と彼は私の手を握った。彼の手のひらは熱かった。これなら何処にも行けないだろう、と彼は笑う、だけど私は直感的にこの繋いだ手がほどけてしまうことを悟った。それを口には出さず彼の手をぎゅっと握り返してそのまま眠ることにした。



(長かった鎖が象徴していたのは二人の距離だと気が付いたのはそれこそ最期の瞬間だった)

(私達は迷わずに示すことができなかったそれは私達が弱かったからだ)




 手を繋いで眠るたったそれだけのことが幸せ過ぎて溢れてきた涙を隣で眠る彼に気付かれないように拭った。




in little time




迷わずに愛するためには
どれくらい強くなれば良いのだろう


―…―…―
(♪in little time/GARNET CROW)


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