(握りしめたはずの奴の手が、ほどけてしまうその感覚を覚えている。)

「このまま、何処までも逃げられたら良いのにな」
「それは貴方がキラだからそんなことを言うのですか」
「さぁ、どうだろうね」

(泣き疲れて眠るには、どれくらいの涙が必要なのだろう。)

「逃げるなら、綺麗な所が良いです」
「誰もいない所っていうのも付け足しておいてくれ」
「そうですね、誰もいない、美しい所」
「緑の生い茂る、離れ小島とか」
「水鳥が羽ばたいていて、夕日が見えるんです」
「誰もいない、最後の楽園、か」

(言葉が出なかった。)

「月くんはキラなんですよね」
「さぁ、どうだろうね、」

(正解だよ、だから僕は逃げたいんだ。)

「私も、Lなんかじゃなければ良かったのかもしれませんね」
「はは、」

(何一つ言えないでいたのは何も伝わらないような気がしたからだ。)

「逃げられたら良いのにな、」

(言葉は無力だと、はっきり自覚したのはいつのことだろう)

「キラもLも投げ捨てて、逃げられたら良かったのに」

(結局、夢でも見たかの様に呆気なく消え去ってしまう関係だったんだ。)

「ねぇ、竜崎」

(僕は、逃げたかったんだよ)





最後の離島




(最後の離島は、遥か遠く、)



―…―…―
(♪最後の離島/GARNET CROW)



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