※スキ.マスイ.ッチの「病院に行く」があまりにも可愛いのでキョンと古泉でやってみた
※もちろん原曲を知らなくてもわかります









 なんだか調子が悪い。身体が重いような気もするし、寒気がするような気がしないでもない。
 おい妹よ、体温計を持ってきておくれ。と言おうと思ったのだが、よく考えたらアイツは昨日からお袋たちと泊まりで出掛けていたのを思い出した。キョンくんは行かないの? と言われたが、色々予定があったもので断ったんだった。まぁ予定と言っても、不思議探索と銘打たれたただのレクリエーションのようなものだが。
 仕方がないので自分で体温計を引っ張り出し、熱を測る。待つこと数分、電子音が鳴り響いた。デジタルなその画面を見て……つい動きが止まってしまったのだが、どうか責めないで頂きたい。

「……病院に行かなきゃ」

 信じられない数字が、そこには並んでいた。




 こんなときに限って親はいないからまったく困ったものである。ふらつきつつ自転車のペダルを漕いで、商店街を抜ける。俺の記憶が正しければ(熱のせいで判断力は低下してるし思考回路はショート寸前なのだが)、日曜日でも診てくれる所が確かこの辺りにあったような気がするのだ。
 が、病気の身で自転車を漕ぐのはあまり良い判断とは言えなかったようで。意識が薄れつつあるが何とか到着、自転車を停めてからよく見てみたら、

「……あれ」

 見覚えのある表札が見える。もしかして、もしかしなくてもここは。とりあえず目的の階までエレベーターで向かうと、呼鈴を押した。

「どうしたんですか、わざわざ休みの日に来るなんて珍し―――え、?」

 部屋の主は俺の様子を見て直ぐに心配そうな表情を浮かべた。とりあえず中に入ってください、とそいつが言うのと同時に……俺はついに倒れ込んだ。



 夢の中かもしれない。病院に行くつもりだったのに気が付けば古泉の部屋に着いていたなんて、都合が良すぎる。しかも目を開けたら古泉の膝枕で寝ていたなんて、ご都合主義も良いところだ。

「ゆっくり、休んでくださいね」

 柔らかな古泉の声。夢でもいいか、なんて思ってしまう。これが一番病気に効く薬だなんて思う俺は、病気とは別の意味で末期だ。


(実際これは夢でもなんでもない現実で、目が覚めた時に「足、痺れちゃいました」と困ったように笑う古泉を押し倒してしまった俺を、どうか責めないで頂きたい。その後はもちろんお約束で、最終的に俺が古泉を看病する羽目になってしまったのだが。)




病院に行く




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