※同居かどちらかの家に遊びにきているかわからないけどとにかく古キョン
※甘い
※短い





 さっきから彼はずっと漫画に夢中で、僕はどうしようか悩んだ結果とりあえず手に持ったコーヒーを机に置くことにした。
 ここに置いておきますよーと声をかけても、あーとかおーとか言うだけでこちらには視線も向けてくれない。肩を竦めて、彼の横に座った。ソファは3人くらいは座れるサイズで、あまり近くに座って怒られるのもいやなので端の方に寄った。
 だが座っただけではすることも何もない。仕方がないので棚から本を取り出す。好きな作家の新作小説で、時間がなくて読んでいなかったものだ。ぱらりとページを捲る、紙の感触が心地よい。コーヒーを一口含んで、本に意識を落とした。



 物語も佳境に入り、ページを捲る指にも力が入る。やっぱりこの作家は話の盛り上げ方が上手いなぁとか思っていると、すぐ横に彼が寄ってきたのがわかった。俺は暇だ、というアピール……構って欲しいということなのだろうか。でも先に放置してきたのは彼だし、小説ももう少しで終わるし……申し訳ないが、しばらく待っていてもらおう。
 彼のことを無視してページを捲る。服を引っ張られようが、コーヒーを僕の分まで飲まれようが、気にしない。気にしないというより、本に集中しすぎて気を配れないといった方が正しいかもしれない。

「おい古泉」

 声を掛けられても先程の彼のように生返事をする。と、いきなり膝に重みと温かい感触。驚いて視線をやれば、彼が僕の膝に頭を乗せてこちらを見上げていた。

「……えっと」
「古泉」
「その……僕、本読んでるんですが」
「いいから、」

 早く俺を構えよバカ。

 ……そんな風に言われて、本を優先できるほど……僕は強くはなかった。




スイートサンデイアフタヌーン







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