※大学生?同居中






 寒い、寒くて仕方がないんだ。羽毛布団にくるまって、身体を丸める。寒い。足の先の方が冷たくてかなわない。背中に冷えきった空気が触れて、別の部屋から毛布を引っ張ってきた。こうして何枚も毛布を重ねて、暖かい空気を逃さないようにする。学生は貧乏で、暖房機器なんて炬燵一つしかない。冷房機器だって扇風機しかなかったんだ。一応エアコンは存在してはいるが、それはコンセントが抜いてある。さらに言えばブレーカーが降りているのだ。それにしても寒くて仕方がない。雪が降るんだろうとなんとなく思った。遠くで救急車のサイレン。寒い。

 ゆうるりと微睡む、生ぬるい空気の布団の中は心地が良いが、外気に触れる顔は寒い。鼻に手をやると、ひんやりとしていた。ぼんやりしているとがちゃ、と扉の開く音。寒い。ようやく、帰ってきたか。数分後にはこの部屋にくる。それにしても、寒くて仕方がない。

「勝手に人の布団を持って行かないでください」
「寒かったからな」
「僕も寒いんですよ」

 帰って直ぐに寝ようと思ったのに、ベッドも冷たくて凍死するかと思いました、と古泉。俺は鼻から下を覆っていた毛布を少し下げる。

「お前のためにあっためてたんだぞ」
「そんな後付けみたいな理由、」
「いいから」

 布団の中に古泉を引っ張り込む。靴下を足の指を使って脱がしてやると、くすぐったいのか古泉は情けない声を出した。

「お前、冷たい」
「文句言わないでください……っくしゅ」
「ほら、もっとこっちに寄れよ」

 微睡みの中、ひんやりとした古泉の身体をぎゅっと抱き締める。寒くてかなわないな、と思うのに、それが嫌じゃないんだ。


 この冷たさが温むまでどれくらいかかるだろう。
 その温もりが明日の朝まで続きますように。






微睡みの中、愛情を抱き締める。






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