【四木さんと高校生臨也】




「まるでエンコーみたい」

クスクスと、目の前の子猫は楽しそうに笑った。腰の細さを強調するかのような真っ黒な学生服に身を包み、人の膝を跨ぐ子猫。子供らしからぬ妖艶な笑みが、こちらの欲を煽る。

「みたい、じゃなくて実際そうだろうが」
「ふふ、そうですかね?」

何が楽しいのか、臨也は笑いながら人の首筋に噛みついた。広く、落ち着きのあるホテルの一室。白いベッドの上で、黒い子猫はじゃれる。相手はガキだ。黒い学生服が、それを際立たせる。幼さを残す顔立ちにアンバランスな色気。嫌な子供だ。子供のくせに、こんなにも人を煽る。

「俺も弱いもんだな」
「何がですか?」
「こっちの話だ」

子猫の愛撫に、その拙さに興奮するなんて馬鹿げている。そう思っているにも関わらず、止まらなかった。
自分はこういう行為に慣れているのだと装うその愚かさが、馬鹿らしくていとおしい。辿々しいその口づけが、たまらなくこちらを煽った。

「はやく大人になってくださいよ、折原さん」
「……子供扱いは、あんまり嬉しくないですよ?」
「その制服着てる内は、子供だろうが」
「今から脱がせるくせに」

言葉遊びのように。
密度の濃い甘ったるい空間は、子猫の色香を引き立てる。ああ、騙されてやろうじゃないか。子供のお遊びに付き合ってやろう。その内に、向こうが止めたくても止められなくなるのだ。

「制服姿のガキを征服する、ねぇ」
「親父ギャグにしてもセンスないですよ?」
「うるさい、黙ってろ」
「黙らせるなら、こっちで、ね?」



言葉を奪うように合わせた唇は、酷く柔らかい。


制服

101206 (Mon) 23:08

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