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無事に(?)クリスマスも終わりなんとなくホグワーツ全体もがらんとした雰囲気になっていた。楽しいことも終わり後は年を越すだけ。日本人として除夜の鐘は聞きたいなぁ、なんて思うけど聞こえるとしたらせいぜい花火の音か、よくて教会の鐘の音だろう。
まぁつまり外国ってやつは年越しよりもクリスマスパーティーを大切にしているのだ。(入学当初はちょっと戸惑った)なのになんでだ。女子ってゆーものは何かにこじつけてそんなにこいつと一緒にいたいのか。(わっかんないっ)


「あの、トム。31日なんだけど…」

「なんだい?」

「…一緒に過ごしていただけないかしら?」

「ごめん。僕はナマエと過ごそうと思っているから」

え………?

一瞬、スリザリン生にしては高飛車でない少女に睨まれた。(こんな子もいるんだな、とか思ったのに)(猫被りかいっ!)

「そうよね。ごめんなさい…」

ちょっと寂しげに笑って彼女は去っていった。もちろん最後に私を睨むことも忘れずに。(もう嫌だ)

それにしても、

「どういうこと?」

「何が?」


こ の 野 郎!
おもっいっきりすっとぼけやがって。しかし、ここで負けてはならない。この短期間に私は学んだのだ。

「クリスマスをリドルのために捧げてあげたんだから年末くらいゆっくり過ごした「君に拒否権はない」………」

我慢だ、自分っ!落ち着けっ!

「でもどうせまた読書でもして過ごすんでしょ?それなら別に私なんか「同じことを言わせないでくれるかい?」………」


け、血管が、切れるっ……!(怒りで)


くそくそっ!逆らえない自分が恨めしい!むかついたのでさっさと寮へ向かった。たまたまご飯を済ませてリドルと鉢合わせしただけだし。(そんないつも一緒にいる必要なんてないし)ずかずかと歩みを進めていると廊下で、何やら興奮したような女生徒の話し声が聞こえた。


「もうすぐ31日よ。言うなら早く言った方がいいわ!」

「そうよ。あんなの彼女でもなんでもないわ」

「う、うん……」

なんだなんだ。ひどい言い様だな。恋する乙女って実態はこんなものなのか?なんか私がよく言われることと似てる。もしかして私と同じような目に、とは言わないが、私と似たような思いをしている子もいるのかな。恋する乙女ってホント、怖いよね。

「ナマエとかなんとか言うちんちくりんな女なんてっ!」


私のことかい!

くそう、なんなんだ。酷すぎる。悪かったなちんちくりんで。むかつくからさっさと帰ろう。


「みんなトムの誕生日を祝いたいっていうのにっ!」


ん………?

んんん………?

誕生日………?

リドルの……?

まじでか。


驚いて一瞬動きが止まってしまいその女生徒たちに気付かれてしまった。(もちろん睨まれた)それにしても、リドルの誕生日?31日が?あいつ一言もそんなこと………って、自分から言うわけないか。まぁ、私なんかが祝わなくてもリドルならたくさんの女の子からお祝いされるし、プレゼントももらうだろうし、別に大丈夫だよね。

さっき言ってたのも建前だろう。

睨む女生徒に気付かないふりをして私は寮へと急いだ。







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Things base and vile, holding no quantity,
Love can transpose to form and dignity.
Love looks not with the eyes but with the mind,
And therefore is wing'd Cupid painted blind.
(A Midsummer Night's Dream / William Shakespeare)