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現在地、例の部屋。(分かりづらいからそのうち名前つけよう)
現時刻、午後2時43分。
現リドル、闇の魔術がどうとかの読書中。
もちろん私がリドルのボディガードなるものとして働くような気配は一向に見えない。(だってすでにリドルの脇にはありえない量の本が積み重なっている)


What?何、何なのこの状況。いやね、別にクリスマスらしいことをしようだなんて求めていないよ?むしろリドルとクリスマスらしいことって一体何をするんだと私は聞きたい。でもさ、なんでこうも普通に過ごしてんの?思ったんだけどさ、


「この部屋に引きこもってるなら、私居る意味なくない?」

「……………」


………………あれ?無視?SHIKATO?少し待ってみる。しかし見る限りリドルの目は忙しなく書物の文章を追っている。しかもこの間すでに3ページほどページが捲られた。


「ちょっとリドル」

「……………」

「おい、リドル」

「……………」

「聞けよ、腹黒大魔人」

「アバダ・ケタ「ノォォォッ!」

う そ で しょ … !
この人、人じゃないよっ!悪魔だ、魔王だっ!余りにもの事に腰を抜かしてあわあわ、言っていると呆れたようなそれでいて、んだようっせーんだよ糞が、くらいの意味が込められているんではないかと思われるうざったそうな顔をしてリドルがこちらを見ていた。つまりものすごく、できる限り人を見下したような顔である。


「何?僕の読書を遮る程の用事なのかい?」

「………私、寮に帰っていいでしょうか」


畜生畜生っ!なんで私がこんなに下手にっ(A.死の呪文を唱えられては困るから)(泣っ)


「ダメだ」

「なんで」

「うるさい」


こ の 野 郎 っ !
思わず杖を握りしめたら睨まれた。わけわかんなくね?杖という武器を持っているのは私であって、リドルは本片手に睨んでるだけなのに、なぜこうも劣勢なのか。くそう、もうなんでもいいや。さようならクリスマス。もうクリスマスなんてものの存在忘れてやるよ。ははは、今日は普通の日。普通に過ごしているだけの日。


と、納得できるわけもない。



「私だってせっかくホグワーツに残るならパーティーを楽しみたいんだけど。それにリドルはこの部屋にいれば問題ないじゃん。この部屋から出るときだけ私呼べばいいし。ここで私が何もしないでクリスマスを過ごすのがどんだけ暇だと思ってんの?そもそもクリスマスじゃなくたってこんな過ごし方嫌だよ。なのに…」

「本当にうるさい奴だな」

ち、調子乗りすぎたっ!
思わずマシンガンで文句を言い続けてしまったが今まさにそれがどれだけ愚かだったことに気付く。(それを後の祭りと言う)リドルは冷ややかな目で私を見る。
終わりだ。きっと何かしら呪いをかけられるに違いない。最悪死の呪文!?いやいや、ここで死体が転がってたらマズイだろうし死の呪文までは…

パチンッ

私がパニックで目を白黒させながらリドルを見ていたわけだが、何を思ったかリドルは指を鳴らした。………まさかリドルの奴すでに杖なしで呪文を!?ばばばばかなっ!父さん母さん先立つ不幸をお許し下さ、い?
あれ?そもそもこんなこと考えてる余裕とかないはずだよな?あれれ?恐る恐る閉じていた目を開けた。そこで私の目に入ったのは、

「その間抜け面どうにかしなよ」

嫌味を言いながらもなんとなく得意気というかなんというか、とにかくいつもの真っ黒いものとは違う笑みを浮かべるリドル。そしてテーブルいっぱいのご馳走。

「リド、ル?」

「パーティーがしたいんだろう?僕は目障りな奴らとパーティーだなんてごめんだからね。これで我慢しろ」


え、え、え…。


「だからその間抜け面やめなよ。それともまだ文句が…」

「リドルが優しい……」

「は?」


あらま、美少年はやっぱり何をしても様になるのね。私で言うと"間抜け面"なのにリドルだと別に違和感はない。(普通にイケメン)


「リドルが優しいっ!嵐!?竜巻!?ハリケーンっ!?それとも隕石接近…」

「殺されたいの?」

「すいません。ありがとうございます。ありがたくいただきます」



はぁ、とため息をつくリドル。私に呆れているのだと分かっててもこのご馳走の前では気にならない。あぁ、ケーキ素晴らしいっ!




(とりあえずたくさん出しただけなんだけど、これ全部食べる気なの?)
(もちろん!デザートもこのあと出してくれるんだよね?)
(…………………)
(これホグワーツのじゃないよね。やばい高級な味する!通販でもしたの?)
(え、)






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Things base and vile, holding no quantity,
Love can transpose to form and dignity.
Love looks not with the eyes but with the mind,
And therefore is wing'd Cupid painted blind.
(A Midsummer Night's Dream / William Shakespeare)