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「ナマエ!朝よ、起きてっ!」

「んー」

「またそうやって返事さえしとけばいいと思って!もう、クリスマスくらい早く起きれないの!?」


…………クリスマス、
…………………プレゼントっ!

がばり、と効果音が背後に見えそうなほどに勢いよく起き上がった。サラが吃驚して一歩後退したのが見えたが気にしない。

「メリークリスマス、サラ!」

「メリークリスマス、ナマエ」

ふぅ、と少し呆れたような一息をつかれたのも気にしない。サラと共に階段を降りて談話室へ出るとそこにはキラキラと輝くプレゼントたちがっ!談話室もいつもの金と赤のグリフィンドール色ではなく赤と緑のクリスマスカラーになっていて自然と胸が踊った。


よし、プレゼント開封と行きますか!嬉々として包みを開けていく。肌触りのよい淡い黄色の包み紙は父さん母さんからだ。………………え、ドレスっ!?

「素敵!綺麗ね、そのドレスッ」

「うぇぇっ!?でもこんなの似合わないし!そもそも着る機会ないし!」

「あら、あなたのお父様とお母様が選んだのよ?似合わないはずないわ」

「うぐ………っ」


確かに言われてみれば私が嫌いなド派手なフリルもなく落ち着いた空色のドレスだ。結構好みかもしれない。サラがうきうきとドレスを眺めているがまぁ、着る機会なんてまずないだろうから飾りとして喜んでおこう。サラからは魔法界の化粧用品をもらった。普段から私がそういうことをしないもんだから見かねて送ったんだろう。なんか注文すればその通りに仕上げてくれるらしい。

「ナマエ、プレゼントはそこら辺にしてそろそろ行ったら?きっとリドルが待ってるわ」

ぎくり、と体を強ばらせたのがわかった。そうだった。忘れてはならない。いつもなら家で穏やかなクリスマスを迎えるはずが、なぜ今ホグワーツにいるのか。


トム・リドル君のボディーガードです(ウインク)


あぁ、みんな楽しげに恋人や友達と過ごすっていうのに何が悲しくて奴のボディーガードなんか。(あ、やばい。マジ泣きしそう)早く早く、と急かすサラが恨めしく思えた。いや、サラに悪気はないんだけどね。それがまた辛い。(ちなみにサラはグリフィンドールで行われるプチパーティに参加するらしい)(羨ましい!)














「メリークリスマス、ナマエ」

「メリークリスマス、リドル」

お互いの愛想笑いのため激しく気持ちの悪い雰囲気が流れています。はっきり行って未だスリザリン勢の視線が痛いわけで。私、ナマエさんは逃げ出したくて仕方ありませんっ!せめて最初から二人きりならいいものの(間違っても甘い意味ではない)こいつはわざわざ朝食から時間を指定して来やがりました。まぁ、つまり"朝から晩まで抜かりなく女避けの役目を果たしてくれよ"ってことだ。今後のアピールになるそうです。(あぁ、また目頭が熱く...!)

クリスマス休暇で人もそう多くいるわけではないので、今日は自由席らしい。向かい側にリドルが腰を降ろす。なんとなくそれを見てると目が合ってリドルはクスリ、と笑った。

「ナマエのくせにめかしこんで。何か期待でもしてるの?」

「……プレゼントの期待ならしますけどね」


そう、と適当な返事をしてリドルはクロワッサンに手を伸ばした。
断じて違う。私はリドルのために化粧したんじゃない!サラのためだっ!(ここ、激しく強調っ)せっかくだから使って、というサラの言葉を断り切れずに化粧してきたというのにこの男っ!

1日が思いやられる…………。







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Things base and vile, holding no quantity,
Love can transpose to form and dignity.
Love looks not with the eyes but with the mind,
And therefore is wing'd Cupid painted blind.
(A Midsummer Night's Dream / William Shakespeare)