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よくもまぁスリザリンの人々はこうも知らない空き教室を探すのが得意なんだろう。私だってよくホグワーツをうろうろしているけど毎回連れてこられるのは知らない教室ばかりだ。
そんなことを無理矢理考えてもリドルの鋭い視線を感じずにはいられませんでした。


「まさか、あれだけ釘を指したのに帰ろうとするとはね」

「……………」

「君の唯一秀でているところといったら、誰よりも僕を怒らせることができるところだよ」

「………だって」

嘲笑ように話すリドル。私の気も知らないで。自己中傲慢男め。地獄に堕ちろ。

「リドルのそばにいたんじゃこっちが被害被るし…」

「その痣のこと?」

無駄と思いつつ反論してみればリドルはまだ消えていない痣に視線をずらす(とりあえず顔は必死に手当てして消した)さすが、というべきか。特にリドルに何か言ったわけじゃないけど目ざとく気付いていたみたいだ。

「私だって、まぁ、リンチをあしらうくらいの呪文は知ってるし平気のつもりでいたけど、さすがに人数が多すぎると敵わないよ」

そう言ってしばらく沈黙が続く。リドルは痣から視線を離さないで固まっているからまた何やら考えているんだろう。私としてはクリスマス休暇くらい例年の通り、頑張って女の子たちの相手をしてもらいたいものだ。普段は私がいてやるんだから。私の訴えが奴の心に少しでも響いているのを願うばかり。(それでもダメなら減点覚悟で当日ホグワーツ特急に乗り込もう)


「分かった」

「へ?」

「僕がしばらく様子を見てやろう。そもそもまたそんな目に会いたくないなら君はできるだけ僕のそばにいればいいんだ。一人でいるからつけ狙われるんだ」

リドルのそばにいて神経をすり減らせる or 女子の皆さまからひどい目にあう

なんという選択肢ですか。




でもてっきり、"そんなの能力が低い君の責任だろ"とか"そんなの僕には関係ない"とか言って撥ね付けるのかと思った。私が思っているよりリドルは優しいのかもしれない(それが例え"女避け"の道具のためだとしても)

「クリスマスが近いからね。最近特にひどいんだ。目障りでしょうがない。しっかり役目を果たしてもらわないと困る」

はいはい、と適当に返事をして私たちは教室を出た。意外にもリドルは私をグリフィンドール寮まで送ってくれた。珍しいこともあったもんだと顔には出さずに、寮から離れていくリドルを見送った。








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Things base and vile, holding no quantity,
Love can transpose to form and dignity.
Love looks not with the eyes but with the mind,
And therefore is wing'd Cupid painted blind.
(A Midsummer Night's Dream / William Shakespeare)