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「ナマエ」

「……………」

無視。

「……ナマエ?」

「……………」

無視だ無視。

「アバダケタ…」

「ちょぉぉっ!何、お前ぇぇっ!」

撃沈。

「ナマエの分際で僕を無視しようなんて何様のつもり?」

「……………(お前は女王様か)」

あれから私はリドルを避け続けた。それでも殴られた頬の痣は消えないしリドルでなくても何かあったとは気付くだろう。それなのにリドルは何も言ってこない。別に労りの言葉とか謝罪とか期待するわけじゃないけどさ。
そんなこんなしてる間に私はちゃっかりクリスマス休暇の帰宅要請を済ませました(ウインク☆)
だからあと数日の間、念には念を入れて警戒体勢でいた。絶対にリドルに捕まらないように!だって頑張れば奴とは会わずに済むのだ。寮が違うから!あぁ、しかし無念。何を呪ってかクリスマス休暇まで残すところ1週間切ったこの時点でグリフィンドールとスリザリンの合同授業が入っていたのだ。


「クリスマス、帰る気だね?」

「……………」

リドルはいきなり声のボリュームを上げた。
周りの視線が控えめにではあるが、集まる。何を話しているのか気になるんだろうけどそんなあからさまに耳をすまされるとさすがに気分がよくない。

リドルは無言を肯定ととったのだろう。(私もそのつもりだ)リドルの笑顔に冷たさが増す。


「取り消しておいたよ」

手間が省けたでしょ、とでも言うようににーっこり笑った。


こ の 野 郎 … !


「ナマエは僕とクリスマス過ごしたくないのかい?(まさかそんなわけないよね?)」

「え、あ、あはは。やだなぁ、そんなわけないじゃん(激しく帰りたいです!)」

「なら、取り消しておいて良かったよね。毎年帰っていたから間違えたんだろ?(君に意見する権利はないよ)」

「はぁ?……あ、うん。そうそう!ごめんごめん!(思わず声に出てしまった)」


つうか、このままじゃ埒あかねぇ!周りの視線があるおかげでリドルの猫かぶり大炸裂!やりづらくてしょうがない…。


「リドル、クリスマスのことで話したいしまた後で…」

「あぁ、わかった(でも僕、次授業ないんだ)」

「へ?」

「ナマエ、どうしたんだ?え?お腹が痛い?ねぇ君、次の授業の教授にナマエは休むと伝えてくれないか?」

「(ええぇぇぇっ!?)」

「は、はい!」


リドルに声をかけられた女子生徒は顔を赤らめた。





再び強制連行。

私は、連行されすぎじゃないかね





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Things base and vile, holding no quantity,
Love can transpose to form and dignity.
Love looks not with the eyes but with the mind,
And therefore is wing'd Cupid painted blind.
(A Midsummer Night's Dream / William Shakespeare)